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エネルギーグリーンエナジー&モビリティ

1. 顧客の脱炭素化を加速するワンストップソリューション

脱炭素化への社会的重要性が高まる一方で,企業がCO2排出量削減を実現してもマーケットへの訴求が十分でない場合,CO2削減のための設備投資に対して経営判断を下しにくいといった課題がある。

株式会社日立パワーソリューションズは,Earth hacks株式会社との連携により,CO2排出量削減施策の立案・実行,その達成度のスコア化とプロモーションをワンストップで支援するソリューションを提供する。

日立パワーソリューションズは,EFaaS(Energy & Facility Management as a Service)※1)を通じて,顧客の拠点におけるエネルギー消費量と設備運用状況を分析し,CO2排出量や設備運用コスト削減施策を立案・実行する。Earth hacksは,実現されたCO2排出削減量を脱炭素化の達成度を数値化した「デカボスコア」※2)によって,顧客の商品やサービスを利用する消費者に対し「脱炭素への貢献度合い」を見える化し,プロモーションを支援する。

エンジニアリング業界と広告業界の連携により,製造業,流通業の顧客が提供する商品やサービスの付加価値を高め,顧客の企業価値向上に貢献する。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

※1)
エネルギーマネジメントとファシリティマネジメントを組み合わせ,全体をデジタルで管理することで,設備の省エネルギー運転,高効率運用化,CO2排出量削減など,環境に配慮するとともに,長期オペレーションの最適化や関連業務の効率化などのマネジメントを可能とするサービス。
※2)
Earth hacks が提供する指標で,環境に配慮した工夫が施された商品・サービスのライフサイクル全体におけるCO2排出量を,従来の素材や手法を用いた場合と比較し,その削減率を表示する。

[1]顧客の企業価値を向上させるための両社の役割[1]顧客の企業価値を向上させるための両社の役割

2. CO2排出量削減と脱炭素化モデルの構築

脱炭素活動の社会的重要性が高まる中,日立パワーソリューションズはCO2排出量削減と脱炭素化モデルの構築に向けた取り組みとして,日立グループ国内初のオフサイトフィジカルコーポレートPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)※1)を導入した。

今回の取り組みでは,三菱HCキャピタルエナジー株式会社が茨城県日立市内にある日立製作所の遊休地に太陽光発電所を設置し,発電した再生可能エネルギー由来の電力(以下,「再エネ電力」と記す。)を,一般送電網を経由して約23 km離れたひたちなか市にある日立パワーソリューションズの勝田事業所に送電する。この再エネ電力は小売電気事業者である東京電力エナジーパートナー株式会社から日立製作所が安定した価格で調達し,日立パワーソリューションズの勝田事業所に全量を割り当てる計画であり,2025年1月の運用開始をめざす。

この取り組みにより年間約1,100 t-CO2※2)の削減を見込んでおり,脱炭素化モデルを社会や環境のニーズに対応した実効性の高いソリューションとして展開していく。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

※1)
発電事業者と需要家における再エネ電力の売買契約。
※2)
2023年度の日立グループ基準値。CO2排出係数0.43 t-CO2/MWhにて試算。

[2]オフサイトフィジカルコーポレートPPA導入のイメージ[2]オフサイトフィジカルコーポレートPPA導入のイメージ

3. 機器構造・履歴・運用ノウハウのデータ化による設備の維持管理支援

インフラ設備管理においては,維持管理に携わる技能者の高齢化が進んでいることから早急な技術継承が求められている。日立パワーソリューションズは,この課題に対して,特許技術であるSIMT(Structured Identifier Management Technology:構造化情報一元管理技術)を活用したナレッジベース構築技術に取り組んでおり,維持管理支援ツールを提供するとともに,技術継承に関する課題を解決してきた。

さらに現在では,ベテラン技術者のノウハウ(暗黙知)をナレッジ(形式知)として可視化し,運用可能なナレッジベースのシステムを遠隔保全員と連携させるコネクトセンターや,フィールドエンジニアが現場で活用できるポータルサイトを開発している。今後は,ナレッジをコンテンツとしてシステムに追加・集約し,各種情報と連携させることで,トラブルシューティングが可能な画面を作成し,蓄積ナレッジから必要な情報を必要なときに引き出すことで,24時間365日対応が必要な管理業務でもレベルの高い対応を可能にしていく計画である。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

[3]ベテラン技術者のノウハウをナレッジとして可視化[3]ベテラン技術者のノウハウをナレッジとして可視化

4. 生産設備の予備品管理を適正化するサイトリミックス

製造業において生産設備の管理は非常に重要である。ある製造メーカーでは,生産効率の向上と設備補修のためのコスト最適化という課題の解決に向けて,さまざまな取り組みを行ってきた。

そうした中,同社の25の工場において,日立パワーソリューションズの保守支援ソリューション「サイトリミックス」の部品管理システムが採用された。これにより,以前は各工場で個別に管理していた在庫部品を一元管理することが可能となり,在庫の可視化とコスト削減につながった。特に,半導体不足の時期にも迅速な部品供給が可能となり,信頼性の向上に寄与している。

今後は,中長期計画サービスの提供を通じて,総合的な保全管理ツールとしてのサイトリミックス利用を促すことで,製造間接費の低減やコスト競争力の向上を支援していく。また,顧客のグループ企業への展開も視野に入れ,より精度の高い部品管理を追求するとともに,保全管理のメインシステムとなることをめざし,さらなる改善のための仕組みづくりを進めていく。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

[4]在庫管理における部品管理システム[4]在庫管理における部品管理システム

5. 電力市場取引向け蓄電所システム

2023年7月,日立製作所は松山みかんエナジー合同会社より,愛媛県松山市に新設される松山蓄電所向けに,系統用蓄電システム一式を受注した。

日立製作所は,日立エナジー,日立パワーソリューションズと共に,グローバルで豊富な導入実績を有する日立エナジーのバッテリー蓄電システム「e-mesh PowerStore」を活用した系統用蓄電システム一式を提供する。

松山蓄電所は66 kVの電力系統に直結する系統用蓄電システムであり,需給調整市場(一次,二次①②,三次①②の全商品)や日本卸電力取引所(スポット・当日市場),容量市場といった電力市場での取り引きが可能である。

日立グループは今回の受注を端緒として,設計から保守まで一貫したサポート体制による系統用蓄電システムの提供などを通じ,日本における再生可能エネルギーの主力電源化と電力の安定供給の両立を支援していく。

[5]松山蓄電所設置場所[5]松山蓄電所設置場所

6. 保護・制御システムのフルデジタル変電所ネットワーク技術

近年,国内において国際規格IEC 61850を適用した保護・制御システムのフルデジタル変電所化(以下,「フルデジタル変電所システム」と記す。)の導入検討が進んでいる。従来の保護・制御システムでは変電機器とのインタフェースに制御ケーブルを用いるが,フルデジタル変電所システムでは,演算処理を行うIED(Intelligent Electronic Device)と入出力変換装置であるMU(Merging Unit)を用い,変電機器の近傍に設置するMUとIEDの間のインタフェースにL2SW(Layer2 Switch)を介した光ネットワークを適用する。これにより,制御ケーブル量を大幅に削減できるとともに,大量のデータを取り扱うことが可能となるため,新たな価値の創出が見込める。

一方で,光ネットワーク化したことにより,保護・制御システムに求められる厳しい通信遅延要件に対する適合性や,ネットワーク障害時の信頼性に対する課題が新たに浮上している。そこで,保護・制御システムのエンジニアリングの知見をベースとしたネットワークの要件定義,および通信品質を保証するQoS(Quality of Service)や,通信経路の冗長化プロトコルであるPRP(Parallel Redundancy Protocol)などのネットワーク技術を活用した設計を行うことで,高い信頼度を確保したフルデジタル変電所システムの開発に取り組んでいる。

[6]フルデジタル変電所システム[6]フルデジタル変電所システム