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ビルシステムコネクティブインダストリーズ

1. 既存顧客に新たな価値を提供するリニューアル製品開発

1999年頃より,日本国内では,昇降路上部に機械室を設置しないエレベーターが主流となり,日立は機械室レスの標準型エレベーター「アーバンエース」を市場投入した。初期型のアーバンエース納入から20年以上が経過し,リニューアル時期を迎えている。そこで業界内でいち早く,機械室レスエレベーターの制御リニューアル製品を開発し,販売を開始した。初期型のアーバンエースの制御リニューアル製品では,巻上機のブレーキを二重化した戸開走行保護装置(UCMP:Unintended Car Movement Protection)の設置をはじめ,安全性の強化や,災害時のレジリエンス向上といったニーズに応える仕様をそろえるとともに,デザイン刷新による視認性・意匠性の向上を打ち出すことで,リニューアル促進を図っている(2024年4月発売)。

また,1983年~2000年までに納入された巻胴式マシンを採用した低・中層ビル向けの4人乗りエレベーター「ファミリエース」の制御リニューアル製品も開発,提供している。巻胴式のエレベーター特有の制御方式や巻胴式マシンのブレーキ安全増し機能を採用し,製造中止部品を対象とした最小限の機器更新で実施できる,低価格・短工期の製品構成とした。同時に操作盤などのデザイン刷新による視認性・意匠性の向上を打ち出している(2022年3月発売)。

[1]アーバンエース制御リニューアル商品の概要[1]アーバンエース制御リニューアル商品の概要

2. 2024年問題に挑むエレベーター施工技術の革新

建設業界では,人手不足が慢性的な課題となっていることに加え,2024年4月1日からは時間外労働の上限規制が適用される2024年問題に伴う建設現場の閉所日の増加,技能者不足などによる工期の長期化などが懸念されている。

エレベーター据付作業の工期短縮の新技術として,熟練技能者の技術をデジタル化した据付位置調整装置を開発した。本装置は,エレベーターのスムーズな上下移動に欠かせないガイドレール設置時の位置調整作業を自動化するレール位置調整装置と,エレベーター乗場のシル(敷居)を建屋の床の高さに対して水平に設置する作業を自動化する乗場シル(敷居)位置調整装置から構成され,標準型エレベーター「アーバンエース HF Plus」から運用を開始した。

本装置の適用により,当該作業の作業時間を従来比で約30%低減するとともに,経験の浅い技能者にもより早く正確な作業が可能となった。株式会社日立ビルシステムは,本装置の運用を通じて2024年問題の影響緩和を図っていく。

(株式会社日立ビルシステム)

[2]レール位置調整装置(左)および乗場シル(敷居)位置調整装置(右)[2]レール位置調整装置(左)および乗場シル(敷居)位置調整装置(右)

3. ビルIoTソリューション「BuilMirai」の中小規模ビル向けソリューション

ビル管理の効率化や運営品質の維持・向上,利用者の快適性の向上を実現するLumadaのビルIoT(Internet of Things)ソリューション「BuilMirai(ビルミライ)」について,新たに中小規模ビル向けモデル(以下,「本ソリューション」と記す。)を開発した。

本ソリューションは,日立がこれまで大規模ビル向けの「BuilMirai」の開発・提供で培った技術や経験・ノウハウを基に,中小規模ビルで求められるソリューションをパッケージ化したもので,日立ビルシステムがas a Service型で提供する。第一弾として,マンションなどにおけるセキュリティ解除や,ビル設備の故障監視,防犯カメラの映像モニタリングなどがスマートフォンで行える三つのソリューションの提供を行っていく。顧客が必要なメニューを選択してサブスクリプション(月額サービス)契約を行う提供形態とすることで,顧客の投資負担を抑え,中小規模ビルにおけるGX(グリーントランスフォーメーション)/DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する。

[3]中小規模ビル向けBuilMiraiイメージ(マンションでの利用イメージ)[3]中小規模ビル向けBuilMiraiイメージ(マンションでの利用イメージ)

4. スマートビルと融合する機能安全技術による新世代制御プラットフォームを搭載したCAシリーズエレベーター

さらなる安全・安心を実現するための監視機能を強化し,機能安全技術を搭載した制御プラットフォームを有する,中国市場向け一般乗用CAシリーズエレベーター「MCA」,「LCA」,「HCA」モデルを市場投入した。

今回開発した機能安全技術は,従来機械式であったエレベーターの安全装置や部品をセンサーと複数のマイクロコンピュータを用いて電子化するとともに,高速通信化技術を採用することで高い精度,安全性,信頼性の実現に留まらず,原価低減,省スペース化といった製品競争力強化と,部品点数削減,据付作業性向上などの環境配慮の両立を実現した。また,遠隔監視装置によってエレベーターの状態を常時監視し,蓄積したビッグデータの解析による新たな付加価値を提供することで,スマートビルと融和したサービス事業に貢献する。さらに,本製品はIT×OT(Operational Technology)×競争力の高いプロダクトを実現する基幹機種として,中国だけでなくグローバルに展開している。

[日立电梯(中国)有限公司]

[4]制御プラットフォームを活用したスマートビルとの融和[4]制御プラットフォームを活用したスマートビルとの融和