日立グループにおける資源循環の取り組み
持続可能な社会の実現に向けて,自動車分野においても,地球環境保全の観点から,3Rの取り組みが積極的に進められている。日立オートモティブシステムズは純正品のメーカーとしての利点を生かし,自社製電装品(オルタネータ,スタータ)の設計・製造に関わる技術を基に,リビルト技術システムを開発した。これは,さまざまな機種の電装品を自動車ディーラー,整備工場から回収し,専用工程で高度な技能を保有する多能工社員が分類・解体・点検・再生・組立・検査までを一貫して行うことで,新品純正品と同等の外観・機能に再生するものである。これにより,回収した電装品を自動車の補修部品として自動車ディーラー,整備工場に循環販売する事業を25年間継続しており,自動車用電装品の高品質なリユースに貢献している。
1990年代,世の中の環境意識の高まりに伴い,メーカーの責任として3R(リデュース,リユース,リサイクル)の取り組みが重要視されるようになった。持続可能な社会の実現に向けて,プロダクトを使い捨てる従来の消費観念が地球環境保全の観点から見直される中,日立オートモティブシステムズ株式会社は,自社製電装品(オルタネータ※1),スタータ※2))を自動車ディーラーや整備工場から回収し,工場での再生工程を経て新品純正品と同等の外観・機能に再生するリビルト事業を推進している。
電装品の修理自体はリビルト事業の開始以前より行っていたが,修理担当者が直接ディーラーや整備工場を訪問して修理を行う現地修理方式,および個々の依頼者から故障品を引き取っての個別対応では,補修品の納期順守・品質確保など,CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)の面で課題があった。そこで,オルタネータ,スタータを対象とするリビルト方式での電装品修理を開始した。これらの電装品は数種類の部品で構成されており,分解・組立が容易なことから,再生利用に適した製品である。回収した電装品を工場に集約して一貫した再生工程を経るリビルト方式の導入により,納期を守りつつ,より高品質な再生品を顧客に提供することができる。図1にオルタネータおよびスタータのリビルト完成品の外観を示す。
1994年のリビルト事業開始以降25年間にわたり,日立オートモティブシステムズは純正品メーカーとして,リビルト品の製造・販売を通じて自動車用電装品の高品質なリユースに貢献している。
リビルト方式における電装品修理の手順は,以下のとおりである。
リビルト事業における業務フローを図2に示す。故障品の再生から回収までの流れは,以下の通りである。
自動車用電装品の純正品メーカーとして,日立オートモティブシステムズは自社電装品の詳細な構造,構成部品の改善履歴,検査方法,品質基準を基に,高度なスキルを持った多能工が組立,検査を実施することにより,新品純正品と同等の外観,性能品質を有するリビルト品の製造,販売を行っている。現在では,故障品として回収した電装品の約40%の部品が再生品として使用されている。2018年度は3万1,476個(約160 t)の故障品を取り扱い,約60 tの廃棄物削減にも貢献した。
本事業は長年にわたる自動車用電装品の高品質なリユースへの貢献を認められ,一般社団法人産業環境管理協会資源・リサイクル促進センター主催の平成28年度資源循環技術・システム表彰において,経済産業省産業技術環境局長賞を受賞した。
日立オートモティブシステムズは本事業を通じ,自動車用電装品の再生・リユースおよび産業廃棄物の削減促進に貢献していく。