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COVER STORY:ACTIVITIES 2

QoLを高めるビル空間の創造をめざして

デジタル技術の活用とスマートビルの展望

ハイライト

ビジネス空間や居住空間,また消費やエンタテインメントの場として,ビルは経済成長や都市化の進行に伴い発展してきた。2050年には世界人口の約7割が都市に暮らすようになると試算され,昇降機やビルシステムの需要も今後ますます高まると予想される。

一方,気候変動や少子高齢化,足元では新型コロナウイルスの感染拡大など,世界は新たな社会課題に直面している。価値観や社会,企業のあり方が変貌しつつある中で,これからのビルのあるべき姿,またグローバル社会に提供できる価値とはどのようなものか。事業と研究開発それぞれの部門のキーパーソンをオンライン会議システムで結び,ビルシステムの未来を展望する。

目次

執筆者紹介

古賀 裕司

古賀 裕司

  • 日立製作所 ビルシステムビジネスユニット ソリューション事業部 事業部長

野口 直昭

野口 直昭

  • 日立製作所 研究開発グループ 機械イノベーションセンタ ロボティクス研究部 部長

上垣 映理子

上垣 映理子

  • 日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ サービスデザイン部 リーダ主任デザイナー

人・ビル・社会に新たな価値を提供するために

―気候変動をはじめとするさまざまな社会課題の顕在化に伴い,ビルを取り巻く環境も変化しています。日立のビルシステムビジネスユニットはこうした変化にどのように対応していくのでしょうか。

古賀 日立グループは2021中期経営計画の中で,お客様の社会価値・環境価値・経済価値の向上をめざし,事業を通じて社会課題を解決することを掲げています。ビルシステムBU(Business Unit)では,「人・ビル・社会に新たな価値を提供し,持続可能な社会の実現に貢献する」という理念の下,事業の指針に基づき,SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の目標7,目標8,目標11※1)にフォーカスして,世界が直面する課題の克服に貢献することをめざしています。

これまでわれわれは都市化の潮流を追い風に,主に昇降機を中心として事業を成長させてきました。特に国内や中国ではトップメーカーとして評価され,ビル設備サービスでも多くのお客様からご愛顧いただいています。しかし,社会課題やビジネス環境が急激に変化する中では,過去の成功にとらわれることなく,社会への貢献という理念をベースとして,製品やサービスにIoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)などのこれまで培った技術ノウハウと最新のデジタル技術を融合させ,新たな価値を生み出していく必要があります。

ビルシステムBUがめざす姿は,「ビルを利用するすべての人々に寄り添うIoTサービスプロバイダー」です。日立では,今から33年前の1987年,昇降機の故障信号を遠隔で捉えるシステムを開発し,1994年には稼働データを収集する遠隔監視システム「ヘリオス」を開発しました(図1参照)。このような遠隔監視と,予防保全・メンテナンスへのデータの活用は,IoTの先駆けであったとも言えるでしょう。

デジタル技術が高度化し,サービスを提供する環境も整ってきた中で,日立がこれまでに蓄積してきた技術やノウハウとサービスの融合を進めています。例えば,ビル内の監視カメラの画像解析やビル内の人の流れを予測する人流解析,高齢者のサポートや人手不足解消に資するロボティクスなどの技術開発に,研究所と共同で取り組んでいます。昇降機を中核としてデジタル技術を取り入れた「スマートビルサービス」を,ステークホルダーの方々に提供したいと考えています。

図1│日立の遠隔監視システムのサービスフロー 図1│日立の遠隔監視システムのサービスフロー

※1)
目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」,目標8「働きがいも経済成長も」,目標11「住み続けられるまちづくりを」

IT×OT×プロダクトによる価値創造

―スマートビルサービスについて詳しく教えてください。

古賀 日本では今後,人口減少が進むことに加え,働き方改革や新型コロナウイルスの感染防止策としてリモートワークが拡大すると予想されています。ビルもこれまでのようにスクラップ&ビルドで新築ビルが増えると言うよりは,既存のビルを生かし,価値を維持・向上させることが重視されるようになるでしょう。いわゆるフロー型からストック型の社会への転換が本格化していくと考えられます。

われわれはこれまでに,国内で約20万台の昇降機,また,昇降機以外では2万5,000サイトにカメラシステムを納入し,2万2,000件のビルメンテナンスサービスを手がけています。さらに技術の進歩により,エレベーターもデジタル化し,エッジコンピューティングなどの情報処理技術も進化してきています。こうした中,われわれのめざすスマートビルサービスとは,デジタル化したエレベーターと,統合型ファシリティマネジメントソリューション「BIVALE(ビヴァーレ)」を中核としたビルソリューションやIoT・AIなどのデジタル技術(IT),そして保守・保全サービスなどのOT(Operational Technology)を掛け合わせた,ストック型社会に対応したビルサービスであり,IT×OT×プロダクトの連携・融合による,「スムース」,「セーフティ」,「サステナビリティ」という三つの価値の提供をめざしています(図2参照)。

ビルの大きな特性の一つが,所有者,就業者や来訪者,管理会社,さらに近隣のビルや周辺地域など,一つのビルに対して多種多様なステークホルダーが存在することです。われわれの役割は,そうした方々にあまねく価値を提供していくことです。そのためにはスマートビルサービスは社内だけに閉じず,社外のアプリケーションとオープンにつながるシステム設計や,社会環境の変化に応じて柔軟にサービスを追加しアップデートができる特性を備えておく必要があると考えています。

図2│日立のビルシステムBUのコンピタンス 図2│日立のビルシステムBUのコンピタンス

ビル設備と人の動きを統合的に解析する

―技術開発を担うテクノロジーイノベーションセンタでは,ビルサービスについてどのような取り組みを進めていますか。

野口 テクノロジーイノベーションセンタでは,日立グループがめざす三つの価値の向上に貢献するため,「協創−開発−蓄積」という価値創生サイクルの循環を重視しています。特に,IT×OT×プロダクトによる価値創造については,Lumadaを軸としてお客様とのデジタルソリューションの協創に取り組んでいます。ビルサービス分野の協創例では画像解析による人流可視化,修理保全の効率化,物流ソリューションなどが挙げられます。

テクノロジーイノベーションセンタは研究開発グループの中でも,プロダクトやサービスに直結する技術の開発を担う部門として「価値起点によるグローバルNo.1技術の創生」をミッションの一つとしています。お客様や社会にとっての「価値」を起点に考え,そのためには自前主義にこだわらず,海外の研究機関や企業,スタートアップなどとも連携しながら,日立ならではのコア技術の開発を進めています。例としては,AI,画像解析,5G(5th Generation),センシング,ロボティクス,電動化,セキュリティなどがありますが,これらはすべてビルサービスと関わりが深いものです。

―具体的な事例があれば教えてください。

野口 一つには,ビルの統合型人流シミュレーション技術を活用した,モダリティ・設備計画最適化技術が挙げられます。複雑系のモデル化手法としてセルオートマトン法※2)を用いて人の行動をモデル化し,日立が長年培ってきたエレベーターの運行制御技術を組み合わせ,秒から分単位でのビル内の人流予測を行う技術です(図3参照)。エレベーターでは,各乗り場の操作ボタンの押下(ホール呼び)データや,かごの配車データなどを大量に蓄積しています。そうしたデータをAIで解析し,時間帯ごとの人の流入を予測するアルゴリズムを組み込んでいます。

現在,大規模ビルでは多機能化が進み,多目的ホール,オフィス,レジデンスやホテルなどから成る複合ビルが国内外で増加しています。こうしたビルの利用者は年代も目的も多様なため,誰にとっても安全でQoL(Quality of Life)を高める空間を創造することが重要になります。また,新型コロナウイルスの感染防止という観点から,今後は無理・無駄のない人流のコントロールが重要になると思われます。そのための設備計画をビルのステークホルダー間で議論する際に,利用者と設備のデータを統合的に解析する技術は有力なツールになると確信しています。ビル設備と利用者の相互影響を考慮した人の流れを予測することで,混雑緩和や快適な移動を実現できるはずです。

図3│ビル内における人流解析のイメージ図 図3│ビル内における人流解析のイメージ図

※2)
空間に格子状に敷き詰められた多数のセルが,近隣のセルと相互作用する中で自らの状態を時間的に変化させていく「自動機械(オートマトン)」。

マンションに安全・安心を

―オフィスビルや複合ビルと異なり,住居が主体であるマンションでは,どのような取り組みを行っているのでしょうか。

野口 高層マンションが増加する中で,昇降機は重要なライフラインとなりつつありますので,三つの提供価値の中でもとりわけ「セーフティ」が重要であると考えています。特に課題となるのは地震時の対応で,停止時間を少しでも短縮する必要があります。そのため,従来の機械式の安全装置の一部に電子デバイスを適用することにより,遠隔復旧や自動復旧を可能にしました。

古賀 災害時のマンションの電源喪失も大きな問題となっています。エレベーターは停電が起きると電源を内蔵バッテリーに切り替えて最寄り階に着床し,閉じ込めを防ぐ機能を搭載しています。ただ,長時間の停電には対応できません。その解決策として期待されているのが蓄電池の活用です。業務用電池や電気自動車のバッテリーを用いて昇降機ほかの重要設備を動かすための実証実験を行っています。

野口 オフィスやマンションで,ビルと人との関係をよりよいものにしていくには,数千点におよぶ設備の稼働データや利用者の行動データの活用がカギになります。セキュリティやプライバシーを守りながらデータを活用することで,移動の効率化に限らず,配送品の受け取りなど物流の円滑化も実現したいと思っています。「利用者で支えるビル管理」のようなコンセプトで,ビル内や近隣地域内の情報共有,住人同士のちょっとした助け合いなどを促進するような仕掛けを考え,実現していきたいと思います。

利用者の行動変容までデザインする

―社会イノベーション協創センタでは,スマートなビルサービスの創造にどのように取り組んでいますか。

上垣 社会イノベーション協創センタは,社会イノベーション事業の創生を加速するため,サービスデザイン手法を軸にグローバルな顧客協創を推進しています。その中で私が所属するサービスデザイン部では,「人々のQoL向上」と「社会/顧客価値向上」を両立するサービス,つまりサービスの利用者と提供者だけでなく社会全体にとっても価値ある事業の創生をめざして,「データ×エクスペリエンス(経験価値)」を活用したデザイン手法を研究しています。

この研究を始めたきっかけは,暮らしや社会をよりよくするために設計したサービスが思ったより使われないというケースに直面したことでした。多種多様なデータから社会的に合理的で価値のある解決策を提示し,それを見たユーザーも価値を感じてくれたとしても,実際にそのとおり行動するとは限りません。そこが人間の難しさで,主体的な行動変容を促すところまで含めてデザインしないと,サービスの真の価値を生み出せないことに気づきました。

例えば,ビルの混雑緩和に向けたサービスを提供する場合,データを分析して空いている時間や混雑状況を可視化しても,それを見て行動を変える人がいなければ状況は変わりません。実際に人が分散するような仕掛けまで合わせて提供することで,サービスの価値が向上し普及していくのだと思います。

QoL向上にまず必要なこととは

―QoLを向上させるサービスとはどのようなものでしょうか。

上垣 QoLとは人それぞれ異なる主観的で相対的な価値であり,自分と周囲を比較したときに感じる差を解消することによって向上できるという仮説を立てています。差の解消にはまず,自分と他人の差や,自分の過去と現在の差を捉えることが必要で,そのためには人間の状態や行動を把握するためのデータを集めなければなりません。また,サービスという面では利用実態や適用効果を計測するためのデータも必要です。スマートなビルではIoTで多種類のデータが集められるため,それらを活用してQoLを向上させるサービスを創造できると期待しています。

2019年度に行ったマンションサービスに関する検討では,マンションの居住価値を高めるためにはトラブルの解消が重要であると考え,騒音やごみ出しなどの住民マナーの主体的な向上を促すサービスを構想しました。トラブルの解消によって安全欲求や社会的欲求が満たされることで,人は社会に目を向けて自己実現をめざすことができ,QoLの高い生活が送れるのではないかと考えています。

またトラブルに関して調査する中で,騒音などの許容値が住民の構成によって異なることが分かってきました。価値基準が異なれば,トラブル防止やコミュニケーション促進のノウハウや方法も異なるはずです。その中で最適なソリューションを見いだすには,やはりデータ×エクスペリエンスが重要です。居住者の入れ替わりに伴う価値基準の変化に合わせて,その時々で求められるものを提供できることが,スマートなサービスの要件ではないかと思います(図4参照)。

図4│社会イノベーション協創センタにて実施したサービスアイディエーションワークショップの様子 図4│社会イノベーション協創センタにて実施したサービスアイディエーションワークショップの様子

価値の変化を捉え,ソリューションをアップデート

―現在,社会的に大きな関心事となっているのが「アフターコロナ」の新常態です。社会や生活が変化する中でQoLを維持するにあたり,技術はどのような役割を果たしていくのでしょうか。

野口 アフターコロナの世界では,技術の果たす役割は大きいと思っています。テレワークを含めた働き方改革に向けた5Gやセキュリティ技術,タッチレスの促進や3密を防ぐ物理的,あるいはシステム的な対応も求められます。私の研究分野では,移動におけるタッチレス化,密を防ぐような昇降機の運用,また人同士の接触を減らすためのロボティクス技術にも力を入れています。今後,ロボットが運搬や製造の現場だけでなく,ビル内で人間と一緒に働くことが求められるようになれば,ロボットが人間に合わせた動作をすることも必要になり,そのために人間を理解する研究も加速すると考えています。

価値起点の技術開発には,普段から社会に貢献するという視点が重要で,幅広い領域のさまざまな研究者が知見やアイデアを持ち寄る活動を行っています。さらに社会イノベーション協創センタとも連携して,社会課題とその克服に価値を発揮できる技術について議論しています。

上垣 社会イノベーション協創センタは技術そのものではなく,それを利用する人の視点から考えたサービスアイデアやユーザインタフェースを検討していますが,新型コロナウイルスの感染拡大以降,急速かつ大幅な価値観や行動の変化を実感しています。例えば,ビルではいかに人を集め,にぎわいや交流を生み出すかがポイントでしたが,今では人が集まることをどう回避するかが重要になっています(図5参照)。こうした価値観や行動の変化は一時的なものもあれば今後定着するものもありますので,さまざまな視点からの情報を集め,テクノロジーイノベーションセンタとも共有しています。

古賀 省エネルギーも,これまでは絶対的な価値でした。ですから,空調の効率を上げるため換気は最小限にとどめるように制御してきたのですが,感染予防の観点から換気が優先されるようになり,省エネルギーの価値が相対的に低下する現象も起きています。

このように,これまでの社会正義がアフターコロナの世界ではそうでなくなるかもしれません。そうした意味でも,社会的な価値の変化を捉えてアップデートできるようなソリューションの設計がますます重要になると感じています。

図5│新型コロナウイルスの感染拡大に伴う価値の変化 図5│新型コロナウイルスの感染拡大に伴う価値の変化

日本企業の強みを生かした技術開発を

―今回のコロナ禍で,日本企業におけるデジタル技術の開発や適用の遅れも指摘されましたが。

野口 デジタルトランスフォーメーションの面では海外勢に遅れをとっている部分もあると思います。ただ大切なのは,遅れている部分を後追いすることではなく,自分たちの強みを見つめ直し,強化することです。日本企業には,製品の仕上がりやバランス感,細部まで行き届いた「際(きわ)」のサービスといった点で一日の長があります。デジタル時代の中にあっても実際に手を動かし,現場で実証を繰り返すことで,それらを研ぎ澄ましていきたいと考えています。

例えば,AIは判断の根拠が不明確なため,インフラ制御のように高い信頼性が求められる分野にはなかなか使えないという見方もあります。しかし,何らかの異常なデータが検出され,それがヒューマンエラーなのか,システムの想定を超えた事象なのか,部品の寿命なのかを判断する際にも,われわれが蓄積してきた知見を適用すれば信頼性や説明の可能性を高めることができます。

Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定と環境地図の同時作成)などの技術が発展し,ロボットが自由に動き回れる世界が訪れつつあります。現実の世界でロボットが安全に効率よく動くには,ロボットの動作に関するルール形成のほか,ある程度の自律的な動作ができることも必要です。われわれは深層学習技術を応用した自律化の研究にも力を入れています。

不確実な時代に「普遍的な価値」を守る

―最後にこれからの展望をお聞かせください。

古賀 アフターコロナの世界ではロボットが人と共存,協働し,さまざまな役割を担っていくと期待されます。ビルシステムBUとしてもロボットは今後のビルサービスの重要なファクターになると考えており,研究開発グループの協力の下,ビルサービスへの適用を念頭にヒューマノイド型ロボット「EMIEW」を提供しています(図6参照)。ロボットが新しい価値を生み出していくためには,異なるロボット同士が安全に,効率的に共存するためのプラットフォームのような技術も必要になるでしょう。ビル内の重要な動線である昇降機というプロダクトとその制御技術を融合させることで,人間とロボットが共存する世界を実現していきたいと考えています。

また,新型コロナウイルスをはじめ,さまざまな面で予測不能な変化が起きる不確実な時代だからこそ,「普遍的な価値」が大切であると思います。グローバルに共通する「スムース」,「セーフティ」,「サステナビリティ」という普遍的な価値を基軸に,Lumadaを活用したお客様との協創を推進し,QoLを高めるスマートビルサービスの提供をめざします。

野口 ビルサービスでは,ロボットのような発展がめざましい技術もありますが,差別化のポイントは「機能」よりも「価値」にシフトしていると思います。研究開発においても普遍的な価値にこだわり,その実現に貢献していきたいと思います。

上垣 アフターコロナの時代には,ロボットのような新しい技術やサービスが生活の中に入ってくると思いますが,それらが受け入れられ,活用され,定着するようにサービスをデザインすることが私たちの役割です。この不確実な時代において,想い描いた未来の姿は次々と書き換わっていくかもしれません。そうした変化にも柔軟に対応し,人を起点として社会に新たな価値を示せるようなビルサービスの実現をめざしていきます。

図6-1│エントランスで活躍するEMIEW 図6-1│エントランスで活躍するEMIEW

図6-2│介護福祉施設で活躍するEMIEW 図6-2│介護福祉施設で活躍するEMIEW

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