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1. 柏崎刈羽原子力発電所第7号機設工認認可

新規制基準の適合性審査では,福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて強化された基準に対し,設置(変更)許可,設計及び工事計画認可申請,保安規定の審査が実施される。

現在,設計及び工事計画認可申請の審査フェーズにあるBWR(Boiling Water Reactor)プラントでは,当基準に対する適合性確保およびさらなる安全性向上のため,重要設備の耐震強化などの自然災害対応,フィルタベント設備などの重大事故対応,航空機衝突対策などのテロ対応を中心とした対策が急ピッチで進められており,これらの広範な過酷事故対策に関して,日立グループは新技術の開発から設計,施工まで,総力を挙げて取り組んできた。

この度,東京電力ホールディングス株式会社の柏崎刈羽原子力発電所第7号機について,原子力規制委員会より設計及び工事計画認可申請「補正」申請が認可を受けた。現在,設計及び工事計画の認可を受けて最終段階である使用前事業者検査を実施し,原子力規制委員会の適合性確認を受ける。日立グループは,引き続き後続のBWRプラントの適合性審査を支援するとともに,安全な技術の開発を通じて,原子力発電所のさらなる安全性向上に貢献していく。

[1]BWRプラントにおける炉心損傷・格納容器破損防止対策

2. ブローアウトパネル閉止装置の開発

原子力発電所では,従来より原子炉設備の安全機能維持を目的に,事故時の室内圧力や温度を低下させるための圧力開放機構として,ブローアウトパネルが設置されている。東日本大震災以降において,規制当局からは事故後の運転員被ばくリスクを低減するよう要求があり,パネル開放後に圧力や温度が下がりしだい速やかに閉止することで,安全性の向上を図ることとなった。

これに対し日立は,大地震などによる事故時の過酷環境下において,放射性物質の放出を防ぐ機能を満足する2種類のブローアウトパネル閉止装置を開発した。2種類のうちスライド型は,東日本大震災の地震を大きく超える耐震性と,規格最高水準を上回る気密性を有する高さ5 mの大型電動扉である。また横開き型は高い耐震性,気密性に加え,事故時の放射線や170℃超の高温蒸気環境に耐える過酷条件仕様の特殊電動扉である。本装置の採用で,安全性能をより一層向上させた原子力発電所への更新が可能となった。

[2]ブローアウトパネル閉止装置(スライド型)加振試験状況

3. 再稼働後の原子力発電プラントの安全性・経済性向上に向けて

環境価値の向上のため低炭素電源の一翼を担う原子力発電は,今後,高い安全性を前提として,より高い経済性が求められる。日立GEニュークリア・エナジー株式会社では,設備の安全性・品質を維持しつつ,電源としての発電量(稼働率)を向上する取り組みとして,デジタル技術を活用したソリューションを提供していく。

国内外の原子力産業での知見に加えて,他業種における作業現場のデジタル化を参考に,定期検査の期間短縮や作業効率化を達成するために現場作業の手順をデジタル化し,技術伝承・品質向上を図っていく。具体的には,暗黙知として蓄積された熟練者のノウハウをデジタルデータとして形式知化して,技能教育や工事前の作業確認に活用する。また,プラント挙動や経年劣化のモデルを構築し,プラント運転情報を活用した設備保全に適用する。これらの活動を通じて顧客とデジタルイノベーションを進め,原子力発電のパフォーマンス向上に貢献していく。

(日立GEニュークリア・エナジー株式会社)

[3]デジタルを活用した手順書機能

4. 福島第一原子力発電所1号機 使用済燃料プールへの養生バッグ設置完了

福島第一原子力発電所1号機では,使用済燃料プール(SFP:Spent Fuel Pool)からの燃料取り出しに向け,SFP上にある屋根鉄骨ガレキの撤去作業を実施する予定である。ガレキ撤去作業において,万が一ガレキがSFP内へ落下した際に燃料の健全性に影響を与えるリスクを低減するため,養生バッグをSFPに設置した。

養生バッグは,SFP付近のガレキとの干渉を避けるため,丸めた状態でSFPへ遠隔で投入後,エアー注入により燃料をカバー可能な大きさへ展張し,エアモルタル注入により必要な浮力を確保する構造となっている。

日立GEニュークリア・エナジーは,2013年より開始した要素試験をはじめ,現地詳細調査,モックアップ試験,遠隔操作トレーニング結果を基に,度重なる改善を実施することで養生バッグの構造および搬入・設置手法を確立した。

今後も,長期にわたる廃止措置事業を進めるため,蓄積した技術を基に顧客ニーズに応じた製品および技術の開発を進める予定である。

(日立GEニュークリア・エナジー株式会社)

[4]養生バッグの投入装置状態確認時(左),エアモルタル充填完了時(右)

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