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日立オートモティブシステムズ株式会社は,2021年1月に株式会社ケーヒン,株式会社ショーワおよび日信工業株式会社と経営統合し,日立Astemo株式会社を設立しました。

1. 小型ステレオカメラの機能強化と市場展開

[1]小型ステレオカメラGen3-ADAS [1]小型ステレオカメラGen3-ADAS

予防安全システムの普及が進む中,日本では2021年から新車への自動ブレーキ搭載が義務化され,欧州だけでなく豪州・アジア圏でも予防安全アセスメントが広まりつつある。単体のデバイスで,さまざまな安全・利便運転機能を提供する小型ステレオカメラは,先進安全自動車をコンパクトに実現する中核デバイスとして,商用トラックから軽自動車まで幅広い車種で採用されている。

これまで小型ステレオカメラGen3では,遠方車両検知や夜間歩行者識別などのAI(Artificial Intelligence)機械学習を応用した独自の技術強化を行い,夜間歩行者の試験(JNCAP 2018: New Car Assessment Programme)で高得点を上げ,国内市場での事故抑制に貢献してきた。さらに車線維持,標識認識,交差点対向車両衝突回避,自動速度制御などを追加した機能強化版がピックアップトラックに採用され,海外市場に向けた展開も始まっている。また,豪州NCAP 2020では本製品の搭載車両が最高レベルの星5を獲得した。

(日立Astemo株式会社)

2. インバータソフトウェア共通化のためのシステムモデルとソフトウェアアーキテクチャ開発

インバータソフトウェアの開発効率向上のために,製品間で共通化して再利用する,ソフトウェアプロダクトライン開発を始めている。再利用可能なソフトウェア部品を作るために,システム設計の段階から製品間での共通点と差分点(可変点)を抽出し,その差分をソフトウェアのアーキテクチャへ反映している。またソフトウェア設計の段階でも,ソフトウェア部品の独立性を高めるための設計を行っている。

これらの設計を可能とするため,システム設計およびソフトウェア設計を通して,SysML(Systems Modeling Language)やUML(Unified Modeling Language)などのモデリング言語に基づく開発手法であるMBSE(Model-based Systems Engineering)を実践している。

(日立Astemo株式会社)

[2]MBSEによるソフトウェア開発 [2]MBSEによるソフトウェア開発

3. 自動運転ユニットとそのOTA更新システム

自動運転や運転支援向け機能は年々進化しており,機能の進化に合わせたソフトウェアの迅速な更新が求められている。そのため,無線を利用したソフトウェア更新を実現するOTA(Over the Air)更新システムに対応した自動運転制御ユニットと,車両にてOTA更新を制御するOTA制御ユニットを製品化した。

自動運転制御ユニットは,認識処理用と車両制御用に二つのCPU(Central Processing Unit)を搭載することで,高速演算処理と高い信頼性・安全性を確保し,CAN(Controller Area Network)とEthernetを搭載することで高速通信を可能にしている。

OTA制御ユニットは,走行中に更新ソフトウェアをダウンロードすることで,更新処理によりユーザーが車を利用できない時間を短縮する。また更新ソフトウェアを暗号化,署名検証することで,更新ソフトウェアの漏洩や不正なソフトウェアへの書き換えなどのセキュリティリスクを低減し,高信頼なソフトウェア更新を可能としている。

(日立Astemo株式会社)

[3]自動運転制御ユニット(左),OTA制御ユニット(右) [3]自動運転制御ユニット(左),OTA制御ユニット(右)

4. 車載制御用ソフトウェアのグローバル開発スキームの構築

自動車の電子・電動化,外部コネクト化をはじめとする高機能化に伴い,車載制御用ECU(Electronic Control Unit)のソフトウェアの複雑化と肥大化が進んでいる。今後もソフトウェア開発の規模拡大が続くことは必至であり,自動車サプライヤはクローズな開発から新しいプレイヤーを含むグローバルでオープンな開発に変化して,短納期と高品質を両立することが求められている。

そこで,国内外パートナー(海外拠点,サプライヤ)との協業を拡大して効率のよい大規模開発を実現するために,クラウドを用いてグローバルに統合したソフトウェア開発環境を構築した。また,開発プロセスは業界標準のプロセスモデルであるA-SPICE(Automotive Software Process Improvement and Capability Determination)に準拠して定義し,グローバルで標準化を推進している。加えて,本開発プロセスにはソフトウェアを部品化して再利用する手法を適用しており,プロジェクト間で重複する開発工数を削減する。

この開発環境には工数計測システムを導入しており,データドリブンで開発のPDCA(Plan,Do,Check,Act)を繰り返すことが可能である。今後も継続的な改善を実施してさらなる開発力の強化を進めていく。

(日立Astemo株式会社)

[4]車載制御用ソフトウェアのグローバル開発スキームの構築 [4]車載制御用ソフトウェアのグローバル開発スキームの構築

5. CO2低減に貢献する高電流点火コイル

[5]高電流点火コイル [5]高電流点火コイル

世界的に強化される燃費規制に対応するため,ガソリンエンジンでは排ガス再循環(EGR: Exhaust Gas Recirculation)の採用がトレンドとなっている。EGRによりポンプ損失や冷却損失を低減して熱効率を向上できるが,着火性の低下という課題がある。解決策として,エンジン筒内の流動強化と点火エネルギーの高出力化が必要となる。一方で点火コイルは,点火エネルギーの高出力化に伴い,体格増大の問題が生じる。

そこで,新しい点火コイルは鉄心の新設計および磁気回路のバイパス化などにより磁気効率の改善を行った。

その結果,従来比でエネルギー密度2倍以上,最大エネルギー1.5倍に達し,世界トップレベルを実現した。実エンジンで評価した結果,着火性を低下することなく,EGR率を5%増加でき,従来製品比で熱効率を3%改善した。

(日立Astemo株式会社,日立オートモティブシステムズ阪神株式会社)

(量産開始時期:2020年10月)

6. 安全・安心を訴求する電動アクチュエータを用いた車両統合制御技術

事故ゼロをめざした自動運転/先進運転支援システムは,あらゆる道で安全・安心を提供することが重要であるが,さらに進んで快適な移動を提供することも重要である。そのためには,熟練ドライバーのような上手な車の運転を,ECUによって自動で行う車両制御技術が必要である。

上手な運転には,次の三つを満たす走行を実現する必要がある。

  1. 未知の状況やリスクを,余裕を持って避ける。
  2. 曲がりくねった道でも体が前後,左右に振られない。
  3. 速やかに目的地に移動するための車速を維持する。

これらの実現のため,乗り心地の良い軌道(経路,車速を含む)の計算アルゴリズム(Dynamics planning)と,軌道を正確にトレースする車両制御(HPVC:High Precision Vehicle Control),さらに車両制御を実現するためのさまざまなアクチュエータを開発している。これらの技術を協調させ一つのECUの中で統合制御することで,安全・安心で快適な車両システムを提供し,事故ゼロの実現に貢献していくことができる。

(日立Astemo株式会社)

[6]軌道計算アルゴリズムと軌道をトレースする高精度車両制御 [6]軌道計算アルゴリズムと軌道をトレースする高精度車両制御

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