日立評論

社会をデジタルで変えていくために

世界のDXパートナーGlobalLogic社の取り組み

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日立評論

GLOBAL INNOVATION REPORT

社会をデジタルで変えていくために

世界のDXパートナーGlobalLogic社の取り組み

ハイライト

2021年7月,デザイン主導のデジタルエンジニアリングをリードするGlobalLogic社が日立グループの一員に加わった。同社は2000年に創立されて以来20年以上にわたり,世界各地の企業と協力して,革新的なデジタル製品,プラットフォームを生み出している。
ここでは,デザインと高度なエンジニアリング,データを融合させ,顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを成功に導くGlobalLogic社の取り組みについて紹介する。

目次

執筆者紹介

Shashank Samant

Shashank Samant

  • GlobalLogic Chief Executive Officer
  • 2008年GlobalLogic入社。
  • GlobalLogic社社長兼CEOとして,同社の規模,事業分野,収益を拡大し,Fortune 1000掲載企業のDXをサポートするグローバルなデジタルエンジニアリングサービスのリーダーへの成長を導く。

1. はじめに

GlobalLogicはデザイン主導のデジタルエンジニアリングをリードする企業であり,デザインとエンジニアリング,データを相互に活用し,デジタルテクノロジーで何が実現できるかという顧客の構想,そして将来に向けた実際のシステム構築をサポートしている。2000年に創立されて以来20年以上にわたり,世界で最もよく知られているブランドや,急成長中の創造的な企業と協力して,革新的なデジタル製品,プラットフォーム,そして魅力的な体験を生み出している。

GlobalLogicでは,デザインと高度なエンジニアリング,そしてデータを融合させ,DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させたいという顧客の願いを実現するとともに,その過程で新しいビジネスモデルや収益源を創出し,顧客のビジネスを変革していく。

GlobalLogicが提供するサービスは直接目に触れる機会は少ないが,人々の生活に深く関わっている。メールの確認からナビゲーション用の地図,車の運転,買い物,薬局など,さまざまな場面でGlobalLogicの働きを実感できるだろう。

2. GlobalLogicとは

GlobalLogicは,2020年度の実績で年率24%を超える売上成長を続けている。これは顧客に寄り添い,DXの実現に向けて共に歩んでいる証であり,2020年度の顧客取引平均継続年数が10年,売上継続率が114%という事実から見ても,GlobalLogicが顧客から高い信頼を得ていることが分かる。

GlobalLogicは世界14か国に38か所のエンジニアリングセンターと8か所のデザインスタジオを有しており,2万3,000人を超えるデザインとソフトウェアエンジニアリングのプロフェッショナルを擁する。

デザインスタジオは顧客との協創活動の拠点となり,事業ブランドや顧客との関係性の検討から,統合された直感的なサービスの設計まで,魅力的なユーザーエクスペリエンス構築を支援している。

図1│シリコンバレーの創造力を展開するGlobalLogic社のグローバル拠点 図1│シリコンバレーの創造力を展開するGlobalLogic社のグローバル拠点 GlobalLogic社は世界14か国に38か所のエンジニアリングセンターと8か所のデザインスタジオ,エンジニアをはじめとした約2万3,000人の従業員を擁する。

3. GlobalLogicのコアコンピタンス

DXの実現に向けて,GlobalLogicは同社の三つのコンピテンシーである,「エクスペリエンスデザイン」,「高度なエンジニアリング」,「コンテンツ/データエンジニアリング」を提供している。

  1. エクスペリエンスデザイン
    デザイン思考を使用して,顧客が理想的なプロダクトやサービスエクスペリエンスを定義することを支援し,技術の面でもサポートする。
    GlobalLogicの戦略的なデザインスタジオである「Method」は,エクスペリエンスデザインに全体的なアプローチを採用している。ビジネスのブランドや顧客との関係を検討するところから,一貫性のある直感的なサービスを定義することまで,その背景にある技術と同じく魅力的なユーザーエクスペリエンスの創出をサポートする。
  2. 高度なエンジニアリング
    GlobalLogicは,最短の時間で最高のデジタル製品を構築するための専門知識と規模を有している。
    世界中の約2万3,000人のデザイナー,アーキテクト,ソフトウェアエンジニアとデータエンジニアはそれぞれの才能を発揮するだけでなく,成熟したプロセスと開発ツールを使用して,顧客のプロジェクトに必要な後押しをする。ソフトウェアがチップ上にあっても,物理デバイス上,あるいはクラウド上にあっても,ソフトウェアのライフサイクルの設計,構築,加速を高いクオリティで支援することができる。
  3. コンテンツ/データエンジニアリング
    最新の製品には,カスタマイズされたコンテンツとデータが欠かせない。GlobalLogicのチームは,コンテンツの充実,データ分析,機械学習主導のモデルトレーニングを加速していく。GlobalLogicは,E2E(End to End)のコンテンツ/データエンジニアリングサービスを顧客に提供することで,生のデータを実践的なインサイト(洞察)に変えていく。また,自動化されたソリューションとリアルタイムモデレーションチームを通じて,企業がコンテンツエコシステムを管理できるよう支援する。10年以上の経験とグローバルに分散したコンテンツ専門家のチームにより,MedTech※)やハイテクのパイオニアから自動車やフリート(社用)車両の管理会社まで,世界最大級の企業と提携し,AI(Artificial Intelligence)と機械学習技術に基づく,インサイトにあふれるコンテンツとデータソリューションを開発している。
    こうした強みが顧客との協創を可能にするとともに,デジタルプラットフォームとしてのLumadaをさらに強化し,Lumadaを活用した新しいソリューションの創出にもつなげていく。
※)
Medical(医療)とTechnology(技術)からなる造語であり,IoTなどのテクノロジーを医療に活用する取り組みを指す。

図2│デザイン・エンジニアリング・データサイエンスの活用による顧客のデジタル化を実現 図2│デザイン・エンジニアリング・データサイエンスの活用による顧客のデジタル化を実現 デザイン・エンジニアリング・データサイエンスの専門知識を統合し,差別化する。

4. GlobalLogicのDXアプローチ

DXは一回限りのものではなく,何年にもわたる旅にたとえられる。そこで,GlobalLogicのような長期的なパートナーを持つことが重要なのである。GlobalLogicは,変革のさまざまなステップを玉ねぎの層のように捉えている。

図3│ソフトウェアの力でビジネス価値を最大化 図3│ソフトウェアの力でビジネス価値を最大化 ブランド&ビジネス戦略,サービス&製品デザイン,技術とR&Dの最適な組み合わせをナビゲートする。

まずは第一層,すなわち中心となる「コア製品」からスタートする。ここでは,企業が最新技術を活用して既存の製品を強化し,その価値を拡大することができる。

第二層 の「デジタルの拡張」では,企業はデジタルプラットフォームやインタフェースを用いて,消費者とのタッチポイントやチャネルをいかに増やすかを検討する。

第三層 の「デジタルサービス」では,企業は実世界にある製品をデジタルで強化し,多様化する顧客のニーズを満たすE2Eのソリューションを提供する。例えば,工具メーカーが建設業界のアセットマネジメント会社をめざすことも可能となるだろう。

第四層では,企業が新たな収益源を生み出すために,「デジタルエコシステム」またはサプライヤ,パートナー,顧客とのインタフェースとなるユニバーサルプラットフォームを構築する。

GlobalLogicの最終的な目標は,顧客の「コア製品」という発想から,顧客独自のデジタルサービスやエコシステムの創出を手助けすることである。これらはGlobalLogicのデザイン,エンジニアリング,そしてLumadaのユースケースとプラットフォームなどの最適な要素によって,迅速かつ効率的に実現することができる。

5. ケーススタディ

  1. アダプティブラーニングプラットフォーム(ピアソン社)
    デジタルエコシステムの層に変革した好例がピアソン社である。同社は急速に進化する学習環境の一歩先を行き,デジタル時代のビジネスモデルを再構築するためにGlobalLogicと提携して,学習者一人ひとりに合わせてカスタマイズされた新しい方法でコンテンツを提供できるアダプティブラーニングプラットフォームを設計・構築した。
    そのプラットフォームとパートナーのコンテンツを組み合わせることで,学習者がそれぞれ自分のペースでコンテンツを利用することができ,学習体験を高め,生涯学習をサポートすることができる。このプラットフォームにより,ピアソン社は,コンテンツやテキストブックから,学習する人の過程に適応して,インタラクティブに管理するサービスとしてのLearning-As-a-Serviceへと移行することができた。
  2. 建設用工具サービス(ヒルティ社)
    Chip-to-Cloudのデジタルエンジニアリングの変革力を示すもう一つの事例がヒルティ社との協創である。GlobalLogicのサービスを利用することで,ヒルティ社は工具の製造販売だけでなく,建設用工具をサービスとして提供することでビジネスモデルを変革し,新しい収益源や収益化モデルを構築した。その過程でユーザーエクスペリエンスの向上を実現し,現在,63か国で1万4,000社の法人と30万人のユーザーが,65の言語でこのプラットフォームを利用している。
  3. 航空業界向けのデジタルマーケットプレイス(ステラ社)
    米国サンフランシスコの民間航空会社であるステラ社とGlobalLogicは,最先端の技術によって,旅行者と航空事業者の間の煩雑な手続きを刷新し,スムーズな航空機の利用(予約・支払い)を実現する自動化されたオペレーションシステムを構築した。
    ユーザーテストを繰り返し行うことで,リアルタイムの見積もり,安全な取引,航空機の運航管理ソフトウェアなどを組み込み,プライベートフライトの空き状況など,適切なリソースを適切なタイミングで柔軟に提供している。

6. おわりに

現状ではなく,あるべき世界の姿に目を向け,顧客と共によりよい社会を支える技術を協創するケイパビリティという点で,GlobalLogicの活動は日立のビジョン「POWERING GOOD」と一致している。

2021年7月,GlobalLogicは日立グループの一員となった。GlobalLogicの協創のアプローチは,日立のLumadaと,そのOTとITソリューションの豊富なポートフォリオを強化していく。

今後はLumadaのポートフォリオを拡大し,顧客の次世代デジタルプラットフォームの活用を支援していく。

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