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「Being」を起点に課題と向き合う

DX時代に求められるAI,データ活用,個人と企業のあり方

ハイライト

気候変動やパンデミックをはじめとするさまざまな課題に直面する現代社会においては,人々の価値観の変化に伴い,ビジネスにおいても旧来の方法論が通用しなくなるなど,あらゆる領域で変革が求められている。

アフターコロナの世界で加速していくDXや働き方改革を成功させるために,必要なものは何か。これからのビジネスに不可欠となるAIや,データ活用の可能性とは。2021年4月にオープンしたデジタルイノベーションを加速する協創空間「Lumada Innovation Hub Tokyo」を舞台に,日立製作所の矢野和男フェローと,同社のLumada Innovation Evangelistに就任した澤円氏が語り合う。

目次

日立とマイクロソフトの共通点

澤 円 澤 円
圓窓代表 日立製作所 Lumada Innovation Evangelist
立教大学経済学部卒業後,生命保険会社のIT系子会社に入社。1997年にMicrosoft社に入社し,情報共有系コンサルタント,クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任。2018年に業務執行役員に就任し,2020年8月に退職。2021年3月より,日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。近著に『「疑う」からはじめる。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム),『「やめる」という選択』(日経BP)がある。

矢野本日はDX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマに澤さんとお話しできるとのことで,楽しみにしてまいりました。今年4月にLumada Innovation Evangelistに就任されましたが,具体的にはどんなことをされているのですか。

現在は主に,ここ「Lumada Innovation Hub Tokyo」について日立グループ内やお客さまへの情報発信をしています。その活動を通じて前職ではお付き合いのなかった企業の方々ともご縁ができ,ビジネスの会話なども始めています。

矢野ここは研究開発グループ国分寺サイトの「協創の森」とも連携しているのですが,あちらにはいらしたことはありますか。

ええ,見学だけでしたが,いいところですね。あれだけの場所を研究センターとして持ち続けていることは,今後ビジネスを展開するうえで一層強みとして重要になってくると思います。「返仁橋」というのもいいですね。技術や研究の世界で「変人」は褒め言葉ですから,それが名前として残っているのが日立らしいと思います。「なぜマイクロソフトを辞めて日立に?」とよく聞かれるのですが,マイクロソフトも日立も僕から見るとかなり似ている会社です。

矢野それは意外ですね。

アセットが横に広く,技術に対するこだわりを大切にしている点が共通していると感じました。日立は創業から一貫して技術を通じて社会に貢献することを標榜してきましたね。エレベーターも,鉄道も,送配電も,ITもあって,それらを組み合わせた価値創造ができる。これはおもしろそうだと感じたことが日立に来た理由です。

矢野日立は研究に関しても事業に関しても,実は外から見てイメージするより自由度が高い会社です。研究内容については定期的に厳しくチェックされますが,「これをやりたい」という意思があれば長い目で見てもらえます。その結果,当初の開発目的とは違う場面でイノベーティブな結果が出せることも多くあるのです。そうした自由度を,日立全体としても従業員それぞれの立場でも,これからもっと生かすべきだと思っています。

「私」を主語にして考える

矢野 和男 矢野 和男
株式会社ハピネスプラネット 代表取締役CEO 日立製作所フェロー
1984年早稲田大学物理修士卒業後,日立製作所に入社し,同社中央研究所に配属。2018年より現職。現在,AIや社会におけるデータ活用の研究に従事。2020年,データに基づき地球規模で幸せを高めるため,株式会社ハピネスプラネットを創業し,代表取締役CEOに就任。博士(工学)。IEEE Fellow。IEEE SpectrumのExternal Advisory Board Memberや文部科学省情報科学技術委員を歴任し,現在,東京工業大学特定教授を兼任。

矢野日本の経済や社会が停滞している原因の一つは,20世紀型の大量生産システムから脱却できていないことです。フレデリック・テイラーが提唱した「科学的管理法」は,労働効率を飛躍的に高めて大量生産システムを実現し,物質的な豊かさをもたらしました。ただ,人間を機械の一部と見なすようなマネジメント手法は,労働者にとっては幸せを感じにくく,今日ではむしろ生産性を低下させる要因となっています。これからは澤さんのような働き方,つまり,まず目的があり,状況に応じてその達成方法を自分で責任をもって選択するという,自由度の高い働き方への転換が必要でしょう。

決められたことをきちんと行えば右肩上がりに成長することが確実であった時代には,科学的管理法が合っていたのだと思います。でも,先が見通せない時代になっているにもかかわらず,旧来のプロセスや考え方を押しつけられるのはしんどいですね。働き方のほかにもコロナ禍で浮き彫りになった社会課題は多く,それらの解決にはインターネット革命以来のグレートリセットが必要だと思います。

矢野日本社会のリセットのカギは何でしょうか。

まずは意識を変えることです。決められたことをきちんと行う20世紀型の働き方は,主語が大きい働き方と言うことができます。「当社はこれをめざす」とか,「われわれはこう考える」というふうに主語が大きく,「私」が抜け落ちています。これからは逆に,「私はこうしたい」,「私はこうありたい」と「私」を主語にして考える働き方,生き方に変えていくことが大切です。僕はこれを「自己中戦略」と呼んでいます。

日本企業でもメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へのシフトが始まっていますが,僕が外資系企業で働いて分かったのは,ジョブ型雇用に適しているのは「私はこの仕事をしたいからこの会社で働く」というふうに考える人です。自分の生き方にマッチしているからジョブ型雇用を選ぶという人が多い。雇用制度を変えるには,まず自分を主語に物事を考える人を増やす必要があります。

そしてもう一つ大切なのが,人の邪魔をしないことです。先ほど言った褒め言葉としての「変人」というのは,いい意味で枠にはまらず独創性がある人です。そういう人に「きちんとやれ」などと言わず,見守って失敗したら助け,成功したら称えるという環境をつくらなければ,科学的管理法を脱却して生産性を上げていくことは難しいと思います。それができないことが根本的な問題なのかもしれませんが。まずは自分を主語にすることと,人の邪魔をしないこと。その二つが実践できれば,日本社会はずいぶん変わると思います。

「Being」を起点に課題と向き合う DX時代に求められるAI,データ活用,個人と企業のあり方

抽象化,汎用化の必要性

矢野マイクロソフトはジョブ型雇用ですね。

完全にジョブ型です。僕は昨年8月末に辞めるまで23年間マイクロソフトにいましたが,技術がどんどんアップデートされていくので,仕事の中身は転職したのと同じぐらい変わりました。ジョブ型というのは,会社の仕組みの中で自分が役立ちそうな場所に自分を当てはめていく制度ですから,仕事の中身は変わっても身につけてきたスキルは生かすことができます。

僕がこれまで見てきた仕事ができる人は,「具体→抽象→汎用→具体」というプロセスで物事を考えることが上手です。よく例に挙げるのが為末大さんで,彼はもともとハードラーですよね。ハードル走という具体において日本記録を出し,オリンピアンになりました。その経験を通じてアスリートの視点や方法論を抽象化し,ビジネスパーソンにも適用できるように汎用化したので,スポーツだけでなくリーダーシップやセルフマネジメントについても一家言を持つに至りました。こうしたことができる人は,いかなるジョブにも自分をアサインすることが可能です。

そのため,キャリアに関するアドバイスを求められたときは,こんなふうに答えています。まずあなたが携わっている仕事の具体的内容を言語化しましょう。その中身,本質をよく観察して抽象化しましょう。抽象化したことをまったく異なる分野で生かせるか,汎用化できるかを考えてみましょう。汎用化できそうなら実際に試してみてはどうですか,と。

矢野よく分かります。私も半導体研究の仕事がなくなり,人間行動データの分析というまったく異なる研究を始めたとき,抽象化,汎用化したことが役に立ちました。例えば実験の考え方,人間関係のつくり方,限られた情報の中から全体感をつかむ力など,抽象化して応用できることはいろいろありますね。

ただ,これは日本人の特性なのか,抽象より具体的な事例のほうに価値があると思っている人が意外に多いのです。データ活用やDX,まさにLumadaのような世界では抽象化が命なのですが。

抽象が具体を束ねて意味づけする

おっしゃるとおりです。Lumadaというのはとても抽象的な存在で,だからこそ僕はコミットしました。Lumadaはデータを活用して顧客の価値創造をお手伝いするための手段やツールの総称と定義されています。要するに顧客をハッピーにするための概念です。というと何だかよく分からないと思われそうですが,さまざまなものを包含した概念として一つにまとまっているため,キーワードとしても便利に使えるのがLumadaの優れたところです。さらに,抽象度が高いゆえに異なる分野の人が参集しやすく,具体につなげやすいのも利点です。

最初に言ったように,日立の強みの一つは多くのアセットを持っていることです。アセットが多いということは,直接体験による一次情報やドメインナレッジを多く持つことを意味します。これは顧客のアセットにも言えることで,それらには高い価値がありますが,放っておくと細分化され,生かされないまま終わってしまう。それらを生かすため全体をカバーする概念がLumadaで,概念と現場をつなぐキーワードがデータです。今やデータを必要としないビジネスはありませんから,データを中心に据えているLumadaは存在意義が非常に大きいと思います。

矢野具体は本質であり,事例には大きな価値があるのですが,やはり事例というのは範囲が狭く,特定の事例をそのまま説明しても通じないことがあります。それを抽象化することで適用範囲を広げる。抽象が具体を束ねて意味づけしているのだという理解を広めたいですね。

なぜ抽象化するかというと,顧客のデマンドがあるからですね。「お客さまが求めているのはこういうことかな」と思ったときに,たくさんの具体という材料の中からポイントを抽出して,「こういうことをしたいのではないですか」と示せるかどうか。変化が激しく予測不能なビジネス環境に対応していくためには,最初から正解を用意することはできません。顧客のデマンド,あるいはビジョンなどから考える,バックキャスティングのアプローチが最適であり,そのときに抽象化が求められます。

DXも本来はデジタルによるトランスフォームという抽象概念のはずです。DXというものをパッケージとして売っているわけではありませんよね。トランスフォームには前提となる正解はありませんから,めざす姿から考える必要があります。

矢野具体と抽象を結ぶ力が重要ですね。

Beingを物事の起点に

事例主義からの脱却は,実はハーバードビジネススクールのMBA(Master of Business Administration)プログラムでも進んでいます。以前のリーダー教育では企業の具体的な課題について議論しながら学ぶ「ケースメソッド」が中心でした。でも,それでは時代の変化に対応できないという問題意識から,「Knowing(知識)」,「Doing(実践)」,「Being(自己認識)」という新しいフレームワークが導入されました。Knowingを得ることに手間やコストがかからない時代に,いくら知識があってもDoingのスキルがなければ意味がない。Doingのスキルを活用するには,Beingが必要であるという考え方です。正解のない問題であふれている現代には,「私はこのために生きている」,「私はこうありたい」という価値観や信念こそが,ビジネスや社会の課題と向き合う軸になるということです。

矢野この場合のBeingは単に存在というよりも,存在を認識するといった意味を含むわけですね。

そうですね。僕もそう捉えていて,昨年出版した『個人力』の中でも,これからの時代は「Being(ありたい自分)」に正直になろうと書きました。これだけデータと情報があふれている時代,KnowingもDoingも選びきれないほどの選択肢があります。ともすれば,それらに振り回されることにもなりかねず,自分は何のために学び,働いているのか分からなくなるかもしれません。でもBeingを起点にしてDoingを選ぶ限りにおいては迷いがなくなり,幸せが侵害されることはありませんよね。「私はこうありたい,だからこれをする」という視点で選んだものは,すべてがハッピーになるための選択肢と言えます。

矢野なるほど,それはおもしろい。DoingのためにBeingを明確にする。逆にDoingとの対比で捉えていくとBeingがより明確に見えてくるということもありそうです。Well-beingであることによってWell-doingができるという,セットで考えることが大切ですね。

最終目的は顧客や,社会をハッピーにすること

Lumada Innovation Hub Tokyoのオープンセレモニーでプレゼンする澤円氏(2021年3月) Lumada Innovation Hub Tokyoのオープンセレモニーでプレゼンする澤円氏(2021年3月)

そうすると,話が戻りますけれど,ジョブ型雇用もうまく機能すると思います。「私はこうなりたいから,この仕事をしたい」ということが明確になりますから。

僕はよく,仕事はキャンプだと思えばうまくいくと言っています。みんなでキャンプに行ったとき,火を起こすのが得意な人が,火を起こしたあと何もしないでビールを飲んでいたら嫌な感じですよね。火を起こしたあと手が空いたから料理を手伝うとか,そういうことをキャンプだと自然にやっていませんか。だけど仕事ではあまりそうならなくて,自分の仕事だけすればそれでいいという人もいます。

キャンプでそれぞれが自分の得意な役割を分担するのは,あくまでも「みんなで楽しい時間を過ごす」という上位の目的があるからです。それに気づかず,自分の分担だけこなせばいいというところで思考が止まってしまうと,キャンプそのものの雰囲気が悪くなってしまいます。

矢野組織が大きくなるほど,自分は営業だから,エンジニアだからと,ある種の壁をつくってしまいますが,まさにキャンプだと思って協力し合えばうまくいくと。

そう思います。営業の都合がつかなければエンジニアが営業的な役割を担ってもいいわけです。セールスの数字ではなく,そのお客さまに貢献するにはどうすればいいのかを起点に,自分が提供できることを考えるというマインドセットが大切です。顧客をハッピーにすること,ひいては社会をハッピーにすることがビジネスの最終的な目的なのですから,そのために自分のできることをするというのが原点ではないでしょうか。

予測不能な変化に向き合う方法論

矢野澤さんはもともとITエンジニアをされていましたが,昨今のAIに対する世の中の期待や警戒感についてはどのように思われますか。

矢野さんの前でAIを語るのはおこがましいことですが,AI,特に機械学習が得意なのは過去の延長線上に未来があると考えることですよね。したがって,それがあてはまる領域では人間はAIに勝てなくなる可能性が高いけれど,そこはAIに任せておけばいい。現実の社会は不確実なことのほうが多く,常に過去の延長線上に未来があるのならイノベーションは起きません。だからAIの予想にないものをつくることが人間の仕事であるというふうになっていくと思います。

矢野おっしゃるとおり,世の中には知識やデータで解けることもある一方で,データは常に過去のものなので,過去のデータでは未来の予測はできないと理解することが大切です。先日,上梓した『予測不能の時代』にも引用しましたが,ドラッカーは著作の中で,「われわれは未来について二つのことしか知らない。一つは,未来は知りえないということ。もう一つは,未来は今日存在するものとも,今日予測するものとも違うということである」と書いています。これは考えてみれば当然のことで,未来は今まさにわれわれがつくっているものであり,予測できるものではありません。

だから,自分たちが望むようにつくっていけばいいのです。その方法論として,私は「PPPサイクル」を提唱しています。過去のデータから,過去の延長線上に何が起きるかを予測(Predict)しても,現実は必ず予測とは乖離します。その乖離を認識(Perceive)し,解離の起きている対象に優先的に行動を起こす(Prioritize)。この三つを繰り返すのがPPPサイクルです。従来のPDCA(Plan, Do, Check, Act)サイクルではデータによる予測ということが意識されていないため,今の環境には合わなくなっています。

予測と現実の乖離は,変化を捉えるための兆しでもあります。その兆しを踏まえて,よりよい未来に向けて行動すること,その責任を取ること,どちらも人間でなければできません。そうして未来を創造していくという文脈においてはAIもデータもたいへん役に立つものであると言えます。

「幸せ」に資するAI,データ活用

L記者会見でハピネスプラネット設立を発表する矢野和男フェロー(2020年6月) L記者会見でハピネスプラネット設立を発表する矢野和男フェロー(2020年6月)

AIの活用でますます重要になるのが,人間のハピネスとの相関関係,マッチングを考えることですね。コンピュータから見れば,データというのはすべて0/1の世界なので,すべてが等しく扱われます。一方,データに意味を見いだすこと,倫理や価値観といった観点からデータを見ることは人間にしかできない仕事で,これからはそこを注意深く見る必要があります。AIの開発原則の一つとして「偏見の排除」がありますが,実はこれが難しい。人間がかなり意識しないと,データを活用して何かをすることが偏見の助長につながりかねないのです。

AIが出したからなんとなく正解だろうなどと思うのは危険で,人間はその結果に対して積極的に,かつ危機感を持って対峙していかなければいけないと思います。何を尊重すべきなのか,人間とはどういう存在なのか,自分の頭を使って考えながら,AIと折り合いをつけるということを続けていかなければならない。正解のない,難しいチャレンジになるとは思いますけれど。

矢野そうですね。人間の思考や行動の範囲が,テクノロジーの進歩によって拡大しているのは間違いなく,それだけ影響範囲も責任も拡大しています。そのためにテクノロジーの倫理ということが注目されています。倫理という言葉は,現在では善悪の基準という意味合いで用いられていますが,ソクラテス,プラトン,アリストテレスと発展してきた元々の倫理学は,「よく生きること」すなわち「幸せ」について考え,幸せを探求することと深く結びついています。そう考えると,AIをはじめとするテクノロジーの倫理を考えることは,人間の幸せについて考えることでもあると言えます。

AIはある種の新しい力ですが,それを生み出したのは人間ですから,きちんと使っていくという責任があります。「自分の専門はデータ分析だから幸せについては知りません」などと言うのは極めて無責任なことだという意識を,今まで以上に高めていく必要がありますね。

「AIが発展していくとどうなるのですか」という質問を,きっと矢野さんも受けると思いますけれど,どうなるかではなく,「あなたはどうしたいですか」ということですよね。人生を充実させるには,コントロールできるところにどれだけリソースを集中するかが大切で,コントロールできないことをあれこれ考えて心配しても仕方がありません。自分がコントロールできることに対して,自分の美学に基づいてDoingを選択していくこと,それが倫理の本質ではないかと思います。その積み重ねが最終的に,人類のハッピーな未来をつくっていくはずです。

矢野われわれは幸せに関する研究でさまざまな実証実験を行ってきましたが,その中で得た知見の一つが「毎朝,前向きな言葉を20文字以上書いている人は数週間経つと幸福度がものすごく向上している」というものです。これはデータを取らなければ分からなかったことで,データドリブンな社会では,こうした知見が日々発見されていくに違いありません。データを活用することで,ハッピーな未来は無限に広がっていく。これは人生だけでなくビジネスにも言えることではないでしょうか。

COLUMN イノベーションを活性化するLumadaのフラッグシップ拠点 「Lumada Innovation Hub Tokyo」

日立は,Lumadaをエンジンとする社会イノベーション事業を推進する中で,イノベーションを加速する仕掛けとして,2019年3月に日立およびパートナーのデジタルソリューションや技術をつなぐ「Lumada Solution Hub」を発表し,2020年11月には業界を越えたさまざまなパートナーをつなぐ「Lumada アライアンスプログラム」を開始した。そして,2021年4月,人々の知恵やアイデアをつなぐ「Lumada Innovation Hub」をフラッグシップ拠点として開設した。

「Lumada Innovation Hub Tokyo」の設計コンセプトは,人々の豊かな営みを,時空を超えて一双の屏風に描いた「洛中洛外図」である。この場所に集うさまざまな才能がDXを通じて生み出す多彩な価値をつなぎ合わせることを象徴する「すやり霞」をモチーフに,対話による発想や閃きなどを促し,イノベーションの創出を支える物理空間と情報環境を用意している。オンラインでも利用可能な五つの協創空間「Meet-Up Square」,「DX Gallery」,「Co-Creation Studio」,「Mirai Atelier」,「Incubation Base」を提供し,ビジョン構築からビジネス化までの協創プロセスを支援する。

また,これらの協創空間では,日立がコロナ禍において試行し培ってきたビジョン構築やアイデア創出などの協創プロセスのデジタル化のノウハウを駆使して,Face to Faceを含めたリアルだけでなく,バーチャルを組み合わせた最適なハイブリッド環境を提供し,レジリエントなコミュニケーションを支えていく。

今後は「Lumada Innovation Hub」のコンセプトに則した協創空間を国内外に設置して,グローバルなパートナーとつなぐことでイノベーション創出を活性化し,人々のQoLの向上と社会・経済の持続的な発展に貢献していく。

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