1. 中部電力パワーグリッド飛騨変換所飛騨信濃周波数変換設備の運用開始
東京中部間連系プロジェクトの最初の計画である,中部電力パワーグリッド株式会社飛騨変換所「飛騨信濃周波数変換設備」が2021年3月に運用を開始した。顧客との密な協力・連携体制の下,2018年8月の据付開始から実質24か月(休工期を除く。)の短工期で無事完成させた。
本設備は,2011年3月の東日本大震災時に発生したような電力供給力不足による混乱を未然に防ぎ,電力を安定に供給することを目的に建設された。HVDC(High Voltage Direct Current:高圧直流送電)技術で東京中部間の電力安定供給に貢献し,平常時には東日本と西日本をまたぐ電力取引に重要な役割を果たしている。以下に設備の特徴を示す。
- 電力融通能力は900 MW,直流線路電圧は200 kV
- 交直変換設備を全長約89 kmの直流架空送電線で結ぶ直流送電設備
- 電力用交直変換設備で国内初の海外製(現在の日立エナジー製)の気中絶縁方式フィルタを採用
- 外気温度-30 °C〜+35°C,標高1,085 m,積雪200 cmの豪雪地帯という厳しい気象条件に耐えるシステム設計
日立は,HVDCをエネルギー分野における主力事業の一つと位置付けており,2019年には,現在構築中である中部電力パワーグリッド東清水変電所向けの自励式HVDC技術を用いた周波数変換装置も受注している。今後も,国内外の系統連系強化や再生可能エネルギー増加に伴う系統連系設備のニーズに対応し,脱炭素社会の実現に貢献していく。
(運用開始時期:2021年3月)