ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせお問い合わせ

パワーグリッド

エネルギー

1. 中部電力パワーグリッド飛騨変換所飛騨信濃周波数変換設備の運用開始

[01]飛騨変換所サイリスタバルブ[01]飛騨変換所サイリスタバルブ

東京中部間連系プロジェクトの最初の計画である,中部電力パワーグリッド株式会社飛騨変換所「飛騨信濃周波数変換設備」が2021年3月に運用を開始した。顧客との密な協力・連携体制の下,2018年8月の据付開始から実質24か月(休工期を除く。)の短工期で無事完成させた。

本設備は,2011年3月の東日本大震災時に発生したような電力供給力不足による混乱を未然に防ぎ,電力を安定に供給することを目的に建設された。HVDC(High Voltage Direct Current:高圧直流送電)技術で東京中部間の電力安定供給に貢献し,平常時には東日本と西日本をまたぐ電力取引に重要な役割を果たしている。以下に設備の特徴を示す。

  1. 電力融通能力は900 MW,直流線路電圧は200 kV
  2. 交直変換設備を全長約89 kmの直流架空送電線で結ぶ直流送電設備
  3. 電力用交直変換設備で国内初の海外製(現在の日立エナジー製)の気中絶縁方式フィルタを採用
  4. 外気温度-30 °C〜+35°C,標高1,085 m,積雪200 cmの豪雪地帯という厳しい気象条件に耐えるシステム設計

日立は,HVDCをエネルギー分野における主力事業の一つと位置付けており,2019年には,現在構築中である中部電力パワーグリッド東清水変電所向けの自励式HVDC技術を用いた周波数変換装置も受注している。今後も,国内外の系統連系強化や再生可能エネルギー増加に伴う系統連系設備のニーズに対応し,脱炭素社会の実現に貢献していく。

(運用開始時期:2021年3月)

2. パワーエレクトロニクスシステムのメンテナンス

[02]アドオン状態監視プラットフォームを搭載した日立エナジーのLinPakトラクションモジュール[02]アドオン状態監視プラットフォームを搭載した日立エナジーのLinPakトラクションモジュール

進展著しいパワー半導体は,有用性や処理能力に対するニーズの高まりと相まってPE(パワーエレクトロニクス)分野に大きな革新をもたらした。PE用途の技術は,再生可能エネルギーから送電,効率的な電力消費に至るまで,既存系統の隅々にまで行き渡ったが,それに呼応してシステムの信頼性が新たな課題として浮上し,故障予測と健全性管理の利用が喫緊の課題となっている。

そのため,PEのあらゆる階層を対象に新たなソリューションの開発に取り組んでいる。センサーベースの例として,軌道牽引用半導体モジュール用のワイヤレス状態監視プラットフォームがある。このシステムはモジュール統合型回路基盤上に搭載され,先頭車両で運用されて湿気侵入や結露の問題を評価し軽減する。

もう一つの例は,HVDCシステムの,データに基づく分析である。冷却システム能力の予測と比較を行うデジタルツイン,劣化や不良を検出する予兆検知,電圧や電流の擾乱の影響を評価するための高周波過渡現象の記録解析により,状態に基づく予知的かつコスト効率の高いアセットマネジメントを可能にする。

(日立エナジー)

3. 英国ウエスタンディストリビューション社における柔軟な配電系統システム

[03]柔軟な配電系統システム(AC-DC-ACコンバータ)[03]柔軟な配電系統システム(AC-DC-ACコンバータ)

発電の分散化は,送電システム側ではなく配電レベルでの接続によって進んでいる。

英国のウエスタンディストリビューション社が運営するネットワーク均衡プロジェクトの柔軟配電系統システム(FPL:Flexible Power Link)メソッドは,BTB(Back to Back)のAC(Alternating Current)-DC(Direct Current)-ACコンバータを使用して二つのBSP(Bulk Supply Point)を接続することをめざすものであり,FPLは既存のノーマルオープンポイントと並列に設置される。そのため,両ネットワークの無効電力を利用した電圧の局所制御が可能となる一方,ネットワーク間での有効電力の双方向伝送の手段が提供され,ネットワーク容量の増加が実現する。いずれかのネットワークの故障電流がコンバータを通じて流れることはないため,故障電流リミッタとしても機能し,設備に過剰な負荷がかからない。

FPLの主たる要件は,有効電力(P,MW)と無効電力(Q,Mvar)を双方のシステムに供給し,ネットワークの熱や電圧の問題に対処することである。双方での自動電圧制御,送電線エミュレーション,系統形成型制御といった高度な機能を追加で適用することもできる。DCリンクに電力貯蔵が追加されれば,FPLは二つのネットワーク間のエネルギーバッファとしても機能し,ネットワークのブラックスタートや,慣性および周波数のサポートが可能になる。

(日立エナジー)

4. 九州電力送配電系統給電制御所システム

[04]九州電力送配電系統給電制御所システム[04]九州電力送配電系統給電制御所システム

九州エリアの基幹系統を一括で運転する新たな系統給電制御所を九州電力送配電株式会社へ納入し,2021年7月から運用を開始した。

これまで九州エリアに4か所あった50万V以上の基幹系統を運転(監視・制御)する系統給電制御所を1か所に集約した。

2022年6月に50万V日向幹線が運用開始することにより,ループ化する基幹系統を集中して運転する性能を確保するとともに,迅速かつ的確な系統運用を行うための支援機能が必要であった。そこで本システムでは信頼度監視機能やVQC(Voltage and Reactive Power Control:電圧・無効電力制御)機能を新たに導入した。

またセキュリティ面では,ユーザー認証機能やログ収集機能の強化など基本的な対策に加え,不正接続防止装置(NX NetMonitor)や一方向中継装置(NX Oneway-Bridge)など,最新のセキュリティ機器を導入して対策を強化している。

5. 電力系統システムの自律的な管理

近年,業界の専門家や社会のさまざまな領域で,電力系統システムにおける自律性の実現とそのメリットについての議論が高まっている。同時に,電力業界ではより迅速な動力学,分散性,発電パターンの曖昧さに関連する課題が増大しており,従来のように自動化だけに依存してシステムを管理するのはますます困難になっている。自律システムであれば,環境との相互作用を通じて学習する機能が備わっているため,変わりやすく予測不可能な状態に適応することができる。自律的な電力系統への移行に向けて体系的な議論を行うため,基本的な分類体系の導入が進んでいる。自律への途上で,あるレベルから次のレベルへの飛躍を促進するためには,特定の要件を満たさなければならない。幸い近年のデジタル技術の急速な発展によって機会は広がっている。

自律性は電力系統システムのライフサイクル全体を通して実現されるべきものであり,システム運用に対して,また最終的にはメンテナンス対策の開始に向けて,拡張や近代化の提案を行う。自律性は生産性やレジリエンスをさらに向上させるテクノロジーであるとも考えられ,新たな機会やビジネスモデル,顧客への価値ある提案につながる可能性もある。

(日立エナジー)

[05]電力系統システムの自律性レベル[05]電力系統システムの自律性レベル

6. SFC技術を装備した世界最長の50 Hz鉄道

リトアニアの主要鉄道路線への電力供給に向け,総設備容量が360 MVAとなる8基の鉄道用静止形周波数変換器(SFC:Static Frequency Converter)を提供する大型契約を締結した。鉄道用SFCは,首都ヴィルニアスとバルト海に面した港湾都市クライペダとを結ぶ400 kmの主要鉄道路線と800 kmの架線に25 kV,50 Hzの交流牽引電力を供給する。

ヴィルニアス−クライペダ路線は,並列給電と自律式牽引ロードシェアリングシステムを利用し,鉄道用SFCによってすべての電源供給を受ける世界最長の50 Hz鉄道となる予定で,これは日立エナジーにとって重要なマイルストーンである。スイスのトゥルギにある日立エナジーのGlobal Center of Competence for Power Conversion が開発・提供する鉄道用SFCシステムは,未来志向でエネルギー効率に優れ,系統支援型の完全冗長構成となっており,これを実装するヴィルニアス−クライペダ路線は,50 Hz牽引式鉄道電源供給プロジェクトの先駆的事例である。

(日立エナジー)

[06]リトアニア鉄道(LTG Infra社)向け鉄道用静止形周波数変換器(PCS6000)の配置図[06]リトアニア鉄道(LTG Infra社)向け鉄道用静止形周波数変換器(PCS6000)の配置図

7. 浮体式洋上風力発電所向け変圧器

[07]洋上風力発電所の浮体式集電変電所の例[07]洋上風力発電所の浮体式集電変電所の例

洋上発電システムの建設にはさまざまな難題がある。多くの沖合海域には建設に適した海底がなく,水深が60 mを超えると着床式の構造物を建設できないことから,洋上発電のポテンシャルのうち,ごくわずかしか利用できていない。

浮体式洋上変電所(OWPP:Offshore Wind Power Park)と風力タービンは水深の深い海域におけるソリューションとして急速に発展しつつあるが,元々要件の厳しい沖合の海域ではさらに大きな問題が生じる。浮体式の構造物は常に動いている状態で,波による振動や衝撃にさらされ,波の高さは15 mにも及ぶ。これが設備の寿命が尽きるまで続く。

洋上風力発電所で生成された電気を送電するには変圧器と分路リアクトルが重要となるが,日立エナジーが提供する変圧器は,浮体式洋上風力発電所の要件を十分に満たしている。本変圧器の特徴は以下のとおりである。

  1. グローバルな専門知識によるサポートと製造拠点
  2. グリッドの要件に関する深い理解に基づいた製造
  3. 持続可能性向上のために最適化された総所有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)
  4. 省スペースで軽量なモジュール式設計

また本変圧器は能動部品,タンク,タップ切替装置,付属品,外部部品が特別に設計されている。

(日立エナジー)

8. 老朽化した電力用変圧器に対するオンラインDGA投資のリターン調査

[08]作業中の日立エナジー保守作業員[08]作業中の日立エナジー保守作業員

電力用変圧器は,送電,商用インフラ,データセンター,石油・ガスプラント,再生可能エネルギーなど,数多くの設備を適切に運用するうえで極めて重要な機器である。こうした変圧器は長年にわたり稼働を続ける中で,熱的ストレス,機械的ストレス,電気的ストレスなどさまざまなストレスにさらされ,いずれも変圧器の老朽化の原因となる。

安定した運用を維持するため,目視検査,定期的なオイルサンプリング,機械的または電気的試験,オイルフィルタリングなどの改修,必要に応じて交換するなど,変圧器の継続的運用を確保するためのさまざまな対策が講じられている。

電力用変圧器の内部の故障を検出する優れた方法の一つに油中ガス分析(DGA:Dissolved Gas Analysis)があるが,ここ数年は,電力用変圧器の設備管理者の間ではオンラインでの油中ガス分析(O-DGA)が盛んに行われている。技術的なメリットが得られるため,多くの設備エンジニアが従来の実験室でのDGAからO-DGAに切り替えている。

(日立エナジー)

9. カーボンフットプリント削減,生態系保護,安全性向上のための変圧器

[09]EconiQ変圧器ポートフォリオのベネフィット[09]EconiQ変圧器ポートフォリオのベネフィット

EconiQ変圧器ポートフォリオは業界標準を上回る革新的ソリューションを提供し,カーボンフットプリント削減,安全性向上,生態系保護,責任ある資源利用など,影響力の大きい分野において,顧客と連携しながら持続可能性の追求に取り組むことを可能にする。

EconiQ変圧器ポートフォリオの基本的な特長は以下のとおりである。

  1. 協働による協創
    変圧器と付属品が持続可能性に及ぼす影響に関する深い専門知識を生かし,顧客と連携しながら顧客の要求を満たす持続可能な変圧器ソリューションを提供する。
  2. 科学的エビデンスに基づくベネフィットの定量化
    持続可能性への影響とそれに関連するベネフィットについて,透明性を定量化して提供することをめざす。これらはライフサイクル分析調査などの最新の方法論を用いることによって得られる。
  3. ライフサイクルの重視
    影響分析と持続可能性のパフォーマンス向上の取り組みは,サプライチェーンから製造,製品利用,提供終了に至る製品のライフサイクル全体にわたって行われる。

EconiQ変圧器ポートフォリオでまず提供するのは,生分解可能な液体を利用した液体封入型変圧器および配電変圧器である。地域の規制を上回る優れたエネルギー効率に加え,ドライブッシュ,TXpand(爆発防止変圧器タンク),低騒音設計などによりベネフィットを向上させている。

(日立エナジー)

10. 洋上風力発電所の変圧器の信頼性強化

[10]海上の移動や洋上の変電所での作業のため個人用の保護具を身に付けた保守作業員[10]海上の移動や洋上の変電所での作業のため個人用の保護具を身に付けた保守作業員

海上における作業条件や,洋上のプラットフォームの環境全般を考慮した場合,電力用変圧器を設置し稼働させるための専用技術を開発することが求められる。洋上風力発電所の変電所に変圧器を供給して設置する工程は複雑で,技術的な困難も伴う。洋上設備向けの認定を受けたメンテナンス不要のコンポーネントを使用して,電源変圧器と分路リアクトルの設計をカスタマイズする必要がある。

日立エナジーは洋上風力発電所向けの変圧器を15年以上にわたって製造している。変電所や風車など洋上風力発電分野のさまざまな設備向けに電力用変圧器や分路リアクトルを幅広く提供しており,HVDC技術もこれに含まれる。実績ある保守サービス技術により,絶縁材料や油やセルロースを海上の厳しい環境にさらすことなくコンポーネントの交換や検査を実施できる。こうした専門的な技術によって,保守サービスの時間も削減される。例えば負荷の大きいオイル処理設備を利用せず,保守作業を迅速に実施でき,風力発電所の停止時間が短縮される。

(日立エナジー)

11. 安全な無線通信による変圧器のデジタル化を実現するTxpertエコシステムリモートサービス

[11]変圧器の保守を広範囲に実現[11]変圧器の保守を広範囲に実現

変圧器の平均寿命は世界全体で見ておよそ35年程度であるため,変圧器が次第に老朽化して故障のリスクが増加するのは避けられない。こうした経年による故障を回避するため,さまざまな個別の保守サービスに加え,短期のTXLifeサービスパッケージおよび長期の変圧器保守サービス契約を提供している。

特にリモートサービスは,変圧器の状態をリモートでリアルタイムに可視化するうえで主要な役割を果たしており,これにより保守要員が現場に出向く必要性が最小限に抑えられ,コストも削減できる。さまざまなリモートサービスで,リアルタイムデータを収集して変圧器の状態を評価するため,オープンで拡張性の高い検知および監視ソリューションTXpertエコシステムが十分に活用されている。これまでに開発されたリモートサービスは,リモートモニタリング,リモートコンサルティング,リモートトラブルシューティング,そしてAR(Augmented Reality)の四つである。これらのリモートサービスを長期の変圧器保守サービス契約と組み合わせれば,コスト効率の高い方法で知識や専門技術を利用し,最高レベルのパフォーマンスを保ちながら変圧器を運用することができる。

(日立エナジー)

12. 乾式変圧器向けのCompactCoolテクノロジー

[12]乾式変圧器用CompactCoolテクノロジー[12]乾式変圧器用CompactCoolテクノロジー

変圧器用テクノロジー「CompactCool」は,液体封入型変圧器と乾式変圧器の利点を組み合わせた,革新的な冷却技術である。乾式変圧器の利点を保持しながら,革新的かつ制御された方法で損失を抽出することにより変圧器を小型・軽量化している。

CompactCoolでは,コイル内で液状の冷却剤を使用することによって巻線から損失を抽出し,外部の熱交換器を介してそれらを循環させる先進的な冷却メカニズムを用いている。そのため,ワット(熱)が外部の環境(大気中または水循環供給)に放出される。

したがって,変圧器の持続可能な運用のために,最適化されたフットプリントや安全性,低保守といった要素が重視されるデータセンターや再生可能エネルギー分野において,CompactCoolは理想的な送電装置である。CompactCoolテクノロジーは乾式の空気絶縁または固体絶縁と直接液冷を組み合わせ,変圧器の安全性と信頼性を実現する。特長は以下のとおりである。

  1. 変圧器のフットプリントを最大50%削減
  2. 冷却液を98%削減
  3. 最大90%の損失を抽出
  4. 電力使用効率(PUE:Power Usage Effectiveness)を低減
  5. 低維持費と信頼性の高い運用

(日立エナジー)

13. 信頼性を向上させ,総運用コストを削減する革新的な車両牽引変圧器

[13]新たに発表した主変圧器[13]新たに発表した主変圧器

  1. 自然冷却式エフィライト主変圧器
    自然冷却式エフィライト主変圧器(NCETT:Natural Cooling Effilight Traction Transformer)は,冷却システム内の電動ファンの代わりに車両の動きによって生じる自然な空気の流れを利用する。この独自の設計により,空冷用のファンが不要となり,冷却システムの故障リスクも低減したことで信頼性が20%向上した。またエネルギーコストが削減され,冷却システム内の電動ファンのメンテナンスが不要となるといった効果を実現している。さらに,エフィライト主変圧器の持つ最大20%の重量削減,最大50%のエネルギー節減というベネフィットがそのまま保持されている。
  2. RESIBLOC Rail 25 kV
    2012年,安全で信頼性の高い乾式変圧テクノロジー「RESIBLOC」を活用した変圧器「RESIBLOC Rail 6.5 kV」を鉄道向け牽引駆動システムに導入した。その後もこの技術を継続的に拡大し,現在は最大25 kVのRESIBLOC Railを提供している。RESIBLOC Railでは,同じ重量で効率が最大99%向上,巻線損失が最大45%削減され,ほぼ保守不要の運用レベルで動作可能であり,列車走行時のエネルギーコストとそれに関連する二酸化炭素排出量が最大10%削減されている。

(日立エナジー)

14. 前面保守構造を採用した保護制御装置

[14]前面保守構造保護装置の構造[14]前面保守構造保護装置の構造

保護装置は,通常リレー室に設置され,前後面のメンテナンスが可能であるが,地下変電所や屋外分散配置の変電所における保護装置は,設置スペース確保のため,装置裏面を壁に付けた配置となることから前面からのみメンテナンス可能となる。今回,前面からのみのメンテナンスを前提とした前面保守構造の保護装置を開発し,製品化した。

保護装置は国内統一規格の700 mm幅の制約があり,今回の前面保守構造においても700 mmの幅は変えずに前面保守対応を可能とする必要があった。保護装置は実装部品が多く,ユニットや端子台と接続するケーブルも多いため配線ルートにも制約がある。これらの課題を解決するためにスライドレール+回転方式を採用することで,作業性を確保し,前面からのみでメンテナンスが可能な構成とした。評価としては,電力用規格(B-402)に準拠した振動試験のほかに,輸送振動による評価を実施し,ともに良好な結果が得られた。

(初回装置納入時期:2021年4月)

15. Veuxbusシリーズを適用したSVC制御保護システム

[15]SVC制御保護システム[15]SVC制御保護システム

1990年代に国内各所に系統安定化の目的で設置された他励式無効電力補償装置(SVC:Static Var Compensator)は,制御保護装置の更新時期を迎えており,能代火力発電所の100 MVA SVC設備の制御保護装置更新を受注した。

更新するSVC制御装置は,国内HVDCシステムで運用実績のある最新のデジタルリレー (Veuxbusシリーズ)と冗長化通信(HSR:High Availability Seamless Redundancy)方式を適用して,SVC制御保護システムの製品開発を行った。SVCに要求される高精度,高速サンプリング性能は既設に比べ大きく向上するとともに,通信障害に対する信頼性も向上しており,系統安定化への貢献が期待できる。本プロジェクトは2022年3月の現地運開に向け試運転中であるが,以降の他励式SVC制御保護装置更新需要にも適用していく。

16. HSR伝送を適用した予防保全システム

[16]送変電設備の予防保全システム構成[16]送変電設備の予防保全システム構成

汎用的に使用しているVeuxbusシリーズのユニットとIP(Internet Protocol)技術の応用であるHSR伝送を用い,送変電設備の予防保全システムを開発した。センサー情報を取り込むために機器近傍に設置する屋外キュービクルと,取り込んだ情報を演算して上位システムへ送信する演算処理盤である。

送変電設備の安定運用のため,機器の運転中の状態をセンサーなどで監視し,機器異常の兆候を把握するための予防保全システムが1990年頃より実用化され,運用されてきたが,予防保全システム老朽化に伴い更新時期を迎えている。

既設では予防保全専用の基盤やスターカプラ伝送方式を使用して実現していたが,本開発では,汎用部品使用による保守性向上と通信冗長化による信頼性向上を実現した。また,センサー情報(4〜20 mA)を基にケーブル温度の異常や過去30日間のデータを蓄積し,遮断器/断路器などのガス圧力変化量の演算,遮断器の投入指令〜パレット動作時間などを測定・異常判定することでユーザーの機器点検作業に有用な情報提供を可能としたため,今後の機器予防保全に寄与することが期待できる。

17. 再生可能エネルギーの統合に適した電力網を実現するHydro SFC Light

[17]Hydro SFC Lightコンバータ[17]Hydro SFC Lightコンバータ

2021年4月,Hydro SFC Lightコンバータ(定格出力80 MW)が,商用利用向けとして初めてオーストリアのMalta Oberstufe揚水式水力発電所に納入された。このフルサイズのコンバータは,可逆変換器給電同期機の可変速運転が可能であるため,発電所の稼働スキームの柔軟性や効率性は新たなレベルに引き上げられる。また高度なグリッド安定化機能を備えた制御機構により,大量の再生可能エネルギー源の統合をサポートする。

Hydro SFC Lightは,この用途で利用される世界初(日立エナジー調べ)の直接型モジュラーマルチレベルコンバータ(MMC:Modular Multilevel Converter)である。統合化された冗長性を備え,効率が高く安全でかつ信頼性の高い運用をめざして開発された最先端のコンバータテクノロジーであり,300 MW以上の発電機に適した選択肢となる。

スイスのトゥルギにある日立エナジーのGlobal Center of Competence のチームはすでに,さらに電力定格の高い次のHydro SFC Lightプロジェクトに取り組んでいる。例えば,オーストリアでのKuhtai 2プロジェクトでは定格出力95 MWのユニット2基が2025年に稼働を開始する予定である。

(日立エナジー)

18. 統合型バッテリーエネルギー貯蔵システム(IBESS)を用いた洋上風力発電所の島嶼運用

電力系統における再生可能エネルギーの割合は急速に増加している。大規模な浮体式洋上変電所(OWPP)の建設が急ピッチで進められ,従来の化石燃料ベースの発電所は次々閉鎖されている,しかし,何らかの不測の事態や停電などによりOWPPが孤立した場合,OWPP全体が操業の停止を余儀なくされる,

こうしたシナリオに合わせて,静止型無効電力補償装置(STATCOM:Static Synchronous Compensator)とバッテリーエネルギー貯蔵システムIBESS(Integrated Battery Energy Storage and STATCOM)を提案する。IBESSはOWPPの共通接続地点に設置し,陸上の系統との接続が一切なく完全に放電状態のOWPPをアイランドモードで通電できるようにする。STATCOMは高速でダイナミックな無効電力管理機能を提供し,バッテリーユニットは有効電力の平衡機能により孤立地点の周波数を調整する。このコンセプトを実証するには,シミュレーションツールPSCAD/EMTDCによりOWPPモデルの時間領域シミュレーションを行う。結果としてシステムが技術的に実現可能であることを確認できる。

(日立エナジー)

[18]IBESSと洋上風力発電所の構想[18]IBESSと洋上風力発電所の構想

19. AIによる産業用オートメーションシステムの探索的テストの強化

[19]継続的インテグレーションワークフロー[19]継続的インテグレーションワークフロー

大規模で複雑な産業用制御システムのテストは,見込まれる入力や環境パラメータが膨大なため困難であり,従来の方法では,空間全体から欠陥を見つけ出すのは事実上不可能である。

このような難題に対処するため,AI(Artificial Intelligence:人工知能)に基づく戦略を利用して効率的に空間を探索し,システム障害の原因となり得るパラメータセットを特定する,自動化された探索的テストのためのメソッドを開発した。

この提案ソリューションのアプローチでは回帰法を用いて検索速度を上げ,クラスタリング手法によって明らかなシステム障害を示すパラメータセットを特定する。このメソッドを,送電網のコンバータシステムの堅牢性をテストする継続的統合フレームワークの一部として実装した。こうしたシステムでは,ソボル列に基づくパラメータ空間サンプリングを用いたガウス過程回帰が最も良い結果を示した。このフレームワークを一晩かけて実行し,見つかった重大なパラメータセットを翌朝エンジニアが詳しく調べる。

このメソッドは現在すでに利用されており,高品質システムの効率的なエンジニアリングに役立っている。

(日立エナジー)

20. サイバーフィジカルに強く,相互運用可能なマイクログリッドネットワーク

[20]マルチレイヤーのレジリエントなマイクログリッドネットワーク[20]マルチレイヤーのレジリエントなマイクログリッドネットワーク

将来,レジリエントな送電網の基本的構成要素として,再生可能エネルギーの普及拡大に合わせて複数のマイクログリッドの相互接続が利用されることが考えられる。特に,ハリケーン,火災,嵐といった自然災害の影響を考慮すればなおさらである。しかし,個々のマイクログリッドをネットワークに統合するには新たな運用機能や管理機能を実装する必要があり,それらは水平・垂直の両方向に追加される通信レイヤーに依存する。自由度は増すが,その代償としてオートメーションシステムの誤動作が広がるリスクが高まり,サイバー攻撃に対するさらなる脆弱性が生じるおそれもある。

そこで,マルチマイクログリッドシステム環境を対象としたサイバーフィジカルなレジリエンス制御と保護アーキテクチャについて,イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校および米国の電力会社デューク・エナジー社と,産学共同による研究,開発,実証を行った。システムの検証はデューク・エナジー社のC-HIL(Controller Hardware in the Loop)環境で行われた。システムはマルチマイクログリッドの統合分散型発電および貯蔵のためのフレームワークを提供し,偽データインジェクション攻撃に対して耐性を有する。

(日立エナジー)

21. 電力レジリエンス向上を支援する電力系統解析サービス

[21]電力系統解析サービスの概要[21]電力系統解析サービスの概要

電力系統は,発送配変電における多種多様な設備やシステムが複雑に絡み合って構成される大規模システムである。この電力系統に電圧変動や断線,短絡故障などの異常が起こると,最悪の場合設備の故障や運転停止に発展する可能性がある。そこで,これらの課題を解決する電力系統解析サービスをリリースした。

電力系統を構成するさまざまな設備やシステムから稼働データを収集し,それらを基に起こり得る系統故障や現象をPC上でシミュレートする。このシミュレーションの結果に対して対策を検討し,顧客に提案を行う。この一連の流れをワンストップで対応していくのが,電力系統解析サービスである。

この電力系統解析サービスは,「技術力」,「知見」,「ユーザー視点」という三つのノウハウを備えている。これらのノウハウは,長年にわたり多くの電力関連設備,システムの構築・運用で世界の電力インフラを支えてきた経験と,その中で発電から需要までの幅広い範囲で系統解析を行ってきた実績から得られたものである。

22. カーボンニュートラルなエネルギーの未来への移行を加速する高圧ソリューションEconiQ

電力業界ではほぼ半世紀にわたって,絶縁性と開閉能力に優れた六フッ化硫黄(SF6)が一般的に利用されてきた。しかし,SF6の地球温暖化係数はCO2の同係数の2万3,500倍もある,近年の最新鋭の送配電機器は極めてガスタイト性が高いが,それでも漏洩があれば,SF6は地球温暖化の一因となる。ガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgear)におけるSF6のCO2換算排出量は他の排出源と比べて格段に大きい。

EconiQは,優れた環境パフォーマンスの実現をめざす,環境効率の高い製品である。EconiQ高電圧製品はSF6を含まない革新的な技術を使用しており,カーボンフットプリントの大幅な削減が実証されている。また,EconiQ高電圧製品のロードマップを発表し,さまざまな電圧レベルの幅広い開閉装置や遮断器の概略を示すとともに,テクノロジーの堅牢性や拡張性を明らかにした。特に注目すべきはEconiQ 420 kV GISである。これは送電網向けの世界初の商用SF6代替製品(日立エナジー調べ)であり,顧客と業界全体が環境効率の高いソリューションへ迅速に移行することを可能にする。

(日立エナジー)

[22]SF6を使用する一般的な145 kV GISのカーボンフットプリント[22]SF<sub>6</sub>を使用する一般的な145 kV GISのカーボンフットプリント

23. 山火事のリスクを低減する電力網のオンライン監視装置SPU用ワイヤレスモニター

近年,山火事の深刻化が進み,ますます甚大な被害をもたらしている。電力供給事業者各社はその原因の一つが,山火事が起こりやすい地域の架空配電線に設置された避雷器にあることを認識している。そこで,日立エナジーは2017年からスパーク防止ユニット(SPU:Spark Prevention Unit)を提供している。これは,熱的過負荷が生じた場合に避雷器を送電網から切り離すことによって,アーク放電,スパーク,ホットパーティクルの放出を防ぎ,結果として出火のリスクを低減させるソリューションである。

新たに開発されたSPU用ワイヤレスモニターを用いると,SPUの状態をリモートで確認して分析することができる。ワイヤレスモニターがSPUの作動を検知すると,そのSPUの場所が長距離低電力ワイヤレスネットワーク通信を経由して即座に伝達される。正確な位置は内蔵のGPS(Global Positioning System)モジュールによって特定される。SPUの作動を速やかに検知できるため,保護装置を迅速に交換でき,送電網での山火事のリスクが低下する。バッテリー内蔵で最低10年間は自律運転できるため,僻地でもメンテナンスフリーでモニターの運用が可能である。

(日立エナジー)

[23]SPU用ワイヤレスモニターの動作原理[23]SPU用ワイヤレスモニターの動作原理

24. 二次設備のデジタルエンタープライズから得られるリアルタイム情報

デジタル変電所の導入増加に伴い,デジタル情報の量が飛躍的に増加している。デジタル変電所を設置すれば,変電所のモニタリング,オートメーション,通信などのシステムから新たに強力な情報やデータが得られる。これらのシステムからアセットマネジメントやパフォーマンス分析などのプラットフォームに送信されるオンライン測定結果に基づき,アセットのパフォーマンスを改善し,耐用年数を延ばすことが可能になる。

またIEC 61850に準拠させることで,デジタル化を行った時点で速やかに情報の文脈や意味合いを把握でき,しかも現場から経営層まで情報を到達させることができる。アセット特有のパフォーマンスモデルに質の高いデータが提供されるため,アセットオーナーはエキスパートシステムからより多くの助言が得られ,メンテナンス活動の計画改善やメンテナンス資源の有効活用を図ることができる。日立エナジーは,変電所のデジタル化に際して,一次設備センサーや,制御装置,保護装置,通信装置など幅広いデジタルアセットを提供しており,その取扱件数はさらに増えている。これらは管理が必要で,一次設備や二次設備のアセットマネジメントには全体的な視点が必要となる。

(日立エナジー)

[24]デジタル変電所内の国際規格[24]デジタル変電所内の国際規格

25. グリッドオートメーションソリューションのCOCを世界の主要地域へ開設

エンジニアリングおよびサービスセンターのグローバル基盤を拡張している日立エナジーは,世界の主要地域でグリッドオートメーションのためのコラボレーティブ・オペレーションセンター(COC)を開設した。

さらに,顧客による導入設備の詳細なトラッキングを可能にする新しいライフサイクルマネジメントプログラム,グリッドオートメーション・シールドについても発表している。このプログラムは,運用の最適化に必要な製品ライフサイクルと関連サービスに関する最新情報を提供する。

マレーシア,オーストラリア,米国,アラブ首長国連邦,スイス,イタリアの6か国に開設されたCOCは,40以上の国に設置されているエンジニアリングおよびサービスセンターと連携しながら,24時間365日の運用体制で,世界レベルのカスタマーサービスを現地に,そして世界中のさまざまな地域に提供する。

(日立エナジー)

[25]コラボレーティブ・オペレーションセンター[25]コラボレーティブ・オペレーションセンター

26. V2Gを実現するためのマイクログリッドプラットフォーム

[26]SnoPUDのマイクログリッドとソーラーパネル[26]SnoPUDのマイクログリッドとソーラーパネル

−アーリントンマイクログリッドからの教訓−

急速に発展している米国太平洋岸北西部の電力会社Snohomish Public Utility District社(SnoPUD)は,この地域の長期的ニーズに着目し,地域コミュニティの太陽光発電,グリッドフォーミングバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS:Battery Energy Storage System),V2G(Vehicle to Grid)技術を組み合わせた先進的なマイクログリッドを開発した。

アーリントンマイクログリッドプロジェクトでは,電力供給が一層増加する未来における系統の強靭化やV2G連系などの有望性を実証しており,再生可能エネルギー100%の実現可能性もこれに含まれる。2021年にスタートしたこのプロジェクトは,マイクログリッドやグリッドエッジの技術の価値を管轄地域全体で最大化するというSnoPUDの目標達成に向けた重要なマイルストーンである。

課題は,増加しつつある電気自動車を電力会社がどのように活用し,サポートするかという点にある。アーリントンマイクログリッドでは,V2G連系により,複雑さの軽減,相互運用性の拡大,自動車と電力系統の間の双方向サービスの効率化を実現している。また,V2Gのインフラ強化に加え,SnoPUDの運用にとって極めて重要なニつの施設,モジュラーデータセンターと新しいユーティリティオフィスを開設した。いずれも,マイクログリッドが提供するフェイルセーフでセキュアな再生可能エネルギーの恩恵を受け,SnoPUDの災害対応に関する重要な目標の達成を可能にしている。

(日立エナジー)

Adobe Readerのダウンロード
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated (アドビシステムズ社)のAdobe® Reader®が必要です。