1. 大阪市水道局 楠葉取水場における電気機械設備DBM
大阪市水道局楠葉取水場は,1968年に通水した日量45万m3の能力を有する取水施設である。淀川から原水を取水して沈砂池を経て取水ポンプ設備により15 km先の豊野浄水場に圧送し,そこから水道水を大阪市東部・中部に給水している。
楠葉取水場では取水ポンプ設備や監視制御設備などが更新時期を迎え,また災害による長期停電対策としての自家発電設備の整備も急務であった。そこで大阪市水道局は,主要な電気・機械設備の更新,自家発電設備ならびに収納する新築建屋の建築工事などの整備事業を同一時期に,効率的かつ経済的に実現するために,実施設計(Design),工事(Build)ならびに維持管理(Maintenance)を一体としたデザインビルドメンテナンス(DBM)方式にて本事業を推進した。現在,電気・機械・建築の多岐にわたる設備の実施設計・工事を完了し,維持管理フェーズである。事業概要と効果は以下のとおりである。
- 事業概要
- 取水ポンプ,電動機,回転速度制御装置などの取水ポンプ設備,監視制御設備などの更新,施設運転用自家発電設備の建築構造物を含めた新設,および本事業で更新・新設した設備の維持管理
- 主要機器の概略仕様
- 取水ポンプ設備:横軸両吸込単段うず巻ポンプ(数量4台)
口径1,000 mm(水平吸込)×700 mm(水平吐出),規定吐出し量125 m3/分 - 自家発電設備:ガスタービン機関,定格出力3,457 kW以上(数量2台)
同期発電機3φ3 W 6.6 kV,定格出力4,000 kVA(数量2台) - 監視制御設備:LCD(Liquid Crystal Display)監視制御装置と制御コントローラによる楠葉取水場施設の集中監視制御
- 取水ポンプ設備:横軸両吸込単段うず巻ポンプ(数量4台)
- DBM方式の効果
- 本事業の整備対象である電気・機械設備,建屋建築の整合性を図り,一体となって円滑に運用できる信頼性の高いシステムを構築した。
- 更新や撤去作業の効率化を考慮して更新設備の機器構成や配置を図り,取水施設の運用を継続しながらの現場工事を実現した。
- 実施設計段階から具体的な維持管理計画を立案し,経済性や維持管理性を考慮した機器選定や施工を可能とした。
(運用開始時期:2021年4月)