1. EVの普及を加速する省スペース大容量マルチポート充電技術
EV(Electric Vehicle:電気自動車)の充電設備の小型・軽量化とともに,充電容量とポート数をフレキシブルに変更できる技術を開発し,350 kWマルチポートEV充電システムを試作した。
大きな体積を占める変圧器を小型化するため,SiC(Silicon Carbide)パワー半導体を用いて変圧器の駆動周波数を50 kHzに高めるSST(Solid State Transformer:半導体変圧器)を開発した。これにより,設置面積を約40%,重量を約70%それぞれ削減し,業界No.1の小型・軽量化(2021年10月現在,日立製作所調べ)を実現した。
また,SSTを内蔵した電力変換ユニットを7台直列に接続して6.6 kVの入力電圧を分担して受電するマルチレベル回路を開発した。これを3並列,合計21台の電力変換ユニット構成とし,切替スイッチで出力を制御することで,ユーザーニーズに応じて充電電力とポート数をフレキシブルに変更できる。例えば50 kWの急速充電であれば7台のEVを同時に充電できるほか,切替スイッチにより350 kWの超急速充電も可能であり,今後普及が進む大容量バッテリー搭載EVも短時間で充電することができる。