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半導体製造・検査装置

コネクティブインダストリーズ

1. 先端半導体デバイスの技術動向と多様化する顧客ニーズ

半導体はIoT(Internet of Things),AI(Artificial Intelligence),5G(Fifth Generation)モバイルネットワーク通信,自動運転などを活用したデジタル社会を支える基盤技術として今後ますます需要が拡大すると期待されている。また,経済安全保障などの観点からも各国が大規模な産業政策を展開している重要な戦略技術である。

現在,先端半導体デバイスにおいては,EUV(Extreme Ultraviolet)※1)リソグラフィの導入によるさらなる微細化が進められており,先端ロジックではトランジスタ構造の複雑化やチップレベル積層技術を用いた高集積化も一段と進んでいく。また,3D-NANDフラッシュメモリでは積層数の増加,DRAM(Dynamic Random Access Memory)※2)では微細化と3D構造化により引き続き記憶密度の向上が図られる。

このような先端半導体デバイスの製造・検査計測装置では,サブナノメートルオーダーでの加工精度とその管理に必要な検査計測精度が要求される。また,EUVリソグラフィ起因の欠陥・ばらつきの管理や各製造装置の処理時に発生する異物に関してもより厳しい管理が要求される。開発期間短縮と歩留まり向上のため,デバイス不良箇所の特定を行う高精度な解析ニーズも高まっている。

日立グループは,今後も多様化する顧客ニーズに対してソリューションを提供していく。

(株式会社日立ハイテク)

※1)
波長が13.5 nmの極端紫外線光源
※2)
キャパシタに電荷を貯めて情報を保持する記憶素子

[01]先端半導体デバイスの進展[01]先端半導体デバイスの進展

2. EUV適用で高まる検査計測ニーズに対応した電子線広視野検査システムGS1000

[02]電子線広視野検査システムGS1000の外観[02]電子線広視野検査システムGS1000の外観

最先端サーバ/モバイル用プロセッサーを市場に提供する先端デバイスメーカーは,5 nm世代デバイスの量産や3 nm世代デバイスの開発で,EUV露光プロセスの適用を拡大している。EUV露光技術では微細かつ高精度な回路加工が可能だが,EUV特有の回路線幅ばらつきの計測や,ランダムに発生する微小Stochastic欠陥※1)の検査などが必要となり,高品質なEUVマスク転写工程の実現のために高スループットな検査計測のニーズが増加している。

株式会社日立ハイテクは,特にEUV適用工程での課題解決に貢献するため,高速・高感度・広領域対応の電子線広視野検査システムGS1000を開発した。これは,最先端の電子光学系設計による収差補正技術と高速ビームスキャン技術を用いることで広領域撮像を実現し,さらに高分解能な大電流ビームを組み合わせることで,従来のように試料ステージ移動を多用せず,広視野領域内で高分解能を維持しながら高速かつ高精度な検査計測を行う。加えて,専用の高速画像処理システムを用いることで,画像の高速撮像と画像転送を並列にリアルタイムで処理し,超高速データ転送による高スループット化を実現した。さらに,プロセスばらつきや微小欠陥の認知を高速かつ高精度に行うために,AI技術を用いたD2AI(Die to AI)検査※2)も取り入れた。

日立ハイテクは,電子線技術を応用した検査計測装置によって,半導体デバイスの開発・量産の多様なニーズに対応し,今後も半導体業界の発展を支えていく。

(株式会社日立ハイテク)

※1)
確率論的に引き起こされる欠陥で,特にEUV露光技術開発で技術課題として注目されている。
※2)
ウェーハの一部領域(Die)を,AIを用いて検査するアルゴリズム手法

3. 高効率検査ニーズに対応したウェーハ表面検査装置LS9600

[03]ウェーハ表面検査装置 LS9600の外観[03]ウェーハ表面検査装置 LS9600の外観

IoT,DX(デジタルトランスフォーメーション)に代表されるデジタル化・高速通信・AIなどの根幹を支える半導体デバイスでは,線幅10 nm以下のプロセスが導入され,その製造工程ではウェーハ上の異物・欠陥を20 nm以下の感度で高速検査し,半導体デバイス量産時の歩留まりを管理する必要がある。ウェーハ表面検査装置は,パターン付きウェーハでは検出・管理が困難な微小異物・欠陥を,ノンパターンウェーハを使用して,より高感度・高速度で検査することが可能であり,プロセス装置の発塵状態を定期的に管理する用途で需要がますます拡大している。

これに対し,新規採用のDUV(Deep Ultraviolet:深紫外)レーザー,および高密度実装マルチ検出光学系により,最高感度15 nm(Bare-Si上),最高速度(120ウェーハ/時)を実現したウェーハ表面検査装置LS9600を開発・上市した。さらにマルチ検出センサーの信号処理アルゴリズム最適化によりキラー欠陥抽出の高精度化を実現し,レーザー寿命予兆技術を開発・量産適用することにより量産稼働率95%以上を達成した。本製品は欧米・台湾の大手顧客の量産ラインに導入されており,顧客の半導体デバイス量産における歩留まりの維持・向上と,検査コスト抑制に貢献している。

(株式会社日立ハイテク)

4. 微小デバイス特性評価装置ナノ・プローバNP8000

微小デバイス特性評価装置(ナノ・プローバ)は,直径数十ナノメートルの微細な探針を半導体素子に直接コンタクトさせることで,トランジスタの電気特性を計測したり,デバイスの故障箇所を特定したりするために用いられるSEM(Scanning Electron Microscope)ベースの解析装置である。昨今,半導体デバイスの進展に伴って,電子線照射ダメージによるデバイスの電気特性変動や回路内の故障箇所を絞り込む技術の高度化がナノ・プローバの課題となっている。

今回開発した新型ナノ・プローバNP8000では,ショットキー電子銃とブースティング減速法を組み合わせた新光学系を採用することで,低加速電圧条件下におけるSEM像の高分解能化を実現し,電子線照射によるダメージを最小化した。さらに,EBAC(Electron Beam Absorbed Current)※)アンプを新型化することで,従来装置では解析不可能であった低抵抗性の欠陥を可視化することが可能となった。

NP8000で実現したソリューションは,先端半導体デバイスメーカーのみならず,中国の新興半導体企業など,今後大幅な需要増加が見込まれる故障解析分野へ展開することが期待できる。

(株式会社日立ハイテク)

※)
半導体デバイス上に電子線を照射した際に発生する回路内に流れる電流(吸収電流)を探針で検出し,画像化することで故障箇所を可視化する技術

[04]微小デバイス特性評価装置ナノ・プローバNP8000の外観[04]微小デバイス特性評価装置ナノ・プローバNP8000の外観

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