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デジタルエンジニアリング

デジタルシステム&サービス

1. 顧客のDXを加速するデジタルエンジニアリング事業

[01-1]Lumada成長サイクル[01-1]Lumada成長サイクル

日立は,2023年4月にデジタルエンジニアリングビジネスユニットを設立した。その目的は,Lumada成長サイクルの起点ともいえるデジタルエンジニアリング領域での成功事例の拡大である。2021年に買収した米国GlobalLogic社をはじめとした社内のリソースを本ビジネスユニットに集約し,顧客の経営課題やニーズを引き出しながらデジタル技術とデータを活用した解決策を提供する顧客協創の要の事業部門として強化していく。さらに,Lumada成長サイクルにおけるその他のステップ(システムインテグレーション,コネクテッドプロダクト,マネージドサービス)に強みを持つ日立グループの各部門とのシナジーにより,複雑な課題の解決に継続的に取り組み,社会イノベーションを実現していくことをめざしている。

デジタルエンジニアリング事業では,顧客とDX(デジタルトランスフォーメーション)を軸にした協創を,(1)コンサルティング,(2)デザイン・プロトタイピング,(3)システム開発・アプリケーションデリバリーの大きく三つのステップで進めていく。

今回,この三つのステップを切り口に,デジタルエンジニアリングビジネスユニットの取り組みを五つ紹介する。(1)から国内DX市場創生に向けたアプローチ,(2)から生成AI(Artificial Intelligence)利活用およびGlobalLogic Japanによる協創事例,(3)からソフトウェア開発の効率化を促進させるLumada Solution Hub,そして(1),(2),(3)を支える日立の協創フラッグシップ拠点Lumada Innovation Hub Tokyoでの協創事例について,記事No.2以降で説明していく。

[01-2]顧客協創DXのフロー[01-2]顧客協創DXのフロー

2. 顧客の企業価値を向上するエンジニアリング

日立は「デジタルエンジニアリング」を,「顧客の企業価値を向上するエンジニアリング」と位置づけている。顧客の状況と期待を理解したコンサルタント,デザイナー,データサイエンティストなどのデジタル人財が,顧客と共に経営課題の解決と企業価値向上を実現するためのカスタマージャーニーを描き,協創による新たな事業や価値の創生に取り組んでいる。また協創活動では,既存のコンサルティングやITの範疇を越え,インフラやエネルギーなどのOT分野も含めたOne Hitachiで推進することで企業価値の向上を実現する。

さらに,このような顧客協創の加速に向け,二つのアプローチを進めている。一つは,特に企業価値向上をめざす顧客DXの軸であり,プライベートエクイティや金融機関とのパートナリングも強化していく。もう一つは,日立グループの有するドメインナレッジ(OT)と,デジタル化やAIといった技術(IT)との掛け合わせによるイノベーションでの価値創出ポテンシャルの高いドメインDXの軸である。既存の顧客に加えて,新しい顧客とも取り組みを拡大して活動していく。

[02]デジタルエンジニアリングの活動[02]デジタルエンジニアリングの活動

3. Lumada Innovation Hub Tokyo活用による上流コンサルからデリバリーまで一貫した顧客協創事例

日立は,SOMPOひまわり生命保険株式会社(以下,「SOMPOひまわり生命」と記す。)ならびにがん治療を専門とする医療機関と共に,Lumada Innovation Hub Tokyoの各種サービスを活用したプロフェッショナル人財との協創活動により「がんデータマネージドサービス」に関するビジネス検討を実施した。2022年11月より,SOMPOひまわり生命の生活習慣の改善をサポートするアプリケーションの新機能として「がんデータマネージドサービス」の提供が開始された。

この協創活動には,Lumada Innovation Hub Tokyoのデザインシンカーとデータサイエンティストが参画し,サービス価値,利用者の利便性を向上させるために画面アプリのプロトタイプを作成した。ユーザー評価では,84%から継続利用の意向があるなど,好結果を導出することができた。

今後は本協創で蓄積したアセットをさまざまな分野に展開し,ヘルスケアエコシステムの形成をめざす予定である。

[03]ビジョンデザインサービスにより構築されたビジネスモデル[03]ビジョンデザインサービスにより構築されたビジネスモデル

4. 建設業の働き方をメタバースで変える日立コンサルティング・GlobalLogic Japan協創事例

[04]「建設承認メタバース」イメージ[04]「建設承認メタバース」イメージ

大成建設株式会社は,株式会社日立コンサルティング,日立製作所,GlobalLogic Japan,株式会社日立社会情報サービスと共同で,「生産プロセスのDX」の一環として,建築計画における次世代の業務スタイルへの変革を推進するシステム「建設承認メタバース」の開発を開始した。

今回の開発では,建築物の意匠・構造・設備などのデジタルデータが統合されたBIM※)(Building Information Modeling)を基に,クラウド上に建築物のメタバースを構築する。このメタバース上で発注者への説明や仕様などの承認までに必要な情報と,プロジェクト関係者(発注者・設計者・施工者など)間の合意形成に必要なデータ,建設承認に至る議事録などのさまざまな情報を一元管理することで,施工現場における業務の効率化や働き方改革に貢献することをめざしている。

今後,他の建設企業やIT企業などのさまざまなパートナーとも連携・協調を図りながらBIMやメタバースに基づき,生成AIやゲームエンジンなどの先進技術を活用した本システムのさらなる技術開発を進め,施工現場での生産プロセスのDXを通じて建設業の次世代の業務スタイルへの変革に積極的に取り組んでいく。

※)
コンピュータ上に作成した主に三次元の形状情報に加え,室などの名称・面積,材料・部材の仕様・性能,仕上げなど,建物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築するシステム。

5. 生成AIの利活用による価値創出と生産性拡大

日本では急速に少子高齢化が進み,それに伴う労働人口減少は経済や社会に大きな影響を与えており,今までにない革新的な生産性向上が求められている。ChatGPTを代表とする生成AIは,日本語などの自然言語で質問すると「まるで人間が書いたような文章」で返答が得られることから,人間の知的作業を強力に補助することができる。日本企業には先人や組織の「知」が豊富にあり,これらを生成AIに学習させることで,生産性を大きく向上できる。ただし生成AIの活用には著作権やプライバシー,AI倫理などのリスクも多い。

そこで,日立グループでは各分野の専門家を集めた「Generative AIセンター」を2023年5月に設立し,社内向けの利用ガイドラインや社内利用環境の整備,ナレッジの蓄積を推進している。また社内のナレッジを基に顧客向けコンサルティングサービスや環境構築支援サービスを提供中である。生成AIは急速に実用化が進んでおり,日立グループ全体の生産性を向上するとともに,顧客向けのユースケースやソリューションを次々に生み出していく。

[05]Generative AIセンターの位置付け[05]Generative AIセンターの位置付け

6. Lumada Solution Hubが牽引するアセット利活用

日立は,これまで業種や企業の垣根を越えてさまざまな顧客との協創活動に臨んできた。そこで培ってきたユースケース,ソリューション,ドメイン知識をはじめとした豊富なアセット※1)をLumada Solution Hubの仕組みの下に蓄積し,社内の組織の壁を越えて共有・活用することを推進してきた。この取り組みを推進し得られた知見から,DX-Ready※2)化をめざす企業においては,これから自社アセットの利活用を推進する方向に舵を切っていくと予想している。

一例として,昨今話題となっている生成AIを用いたアプリケーションの効果的な活用においては,既存の大規模言語モデルだけではなく,自社独自の情報・ドメイン知識を組み合わせて活用することが不可欠であることが挙げられる。生成AIの活用では,大規模言語モデルが保有していない情報を外部から与えることで生成の精度を高める方法が一般的に使われている。つまり,アセットとして自社独自の情報・ドメイン知識を蓄積・共有できている状態が,生成AIの活用やDX-Ready化の成功要素となり得ると考えている。

日立においてその役割を果たすのがLumada Solution Hubである。生成AIをはじめとした最新技術の業務適用とアセットの利活用を両輪で推進し,顧客提供価値の向上に貢献していく。

※1)
ユースケース,ソリューション,プロダクトやサービス,そしてシステムアーキテクチャを含む各種ナレッジ。
※2)
企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態。
出典:「DX認定制度 申請要項」(経済産業省 情報技術利用促進課/独立行政法人 情報処理推進機構)

[06]Lumada成長サイクルにおけるLumada Solution Hubの位置づけ[06]Lumada成長サイクルにおけるLumada Solution Hubの位置づけ

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