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COVER STORY:FOCUS

新型コロナウイルス感染拡大を受けた日立の活動について

幅広い事業分野を持つ日立グループの強みを生かし,30万人が一丸となって推進

ハイライト

日立グループは,新型コロナウイルスの感染が拡大する中,お客さま,パートナー,そして,グループでグローバルに働く従業員および家族をはじめとする,すべてのステークホルダーの皆さまの安全・健康を第一に考え,感染拡大防止や拡大の影響を軽減する施策を実行しています。

目次

1.フェイスシールドやマスク,人工呼吸器の製造や供給を支援

日立グループは,新型コロナウイルス感染症の診断や治療,感染拡大防止に尽力されている医療現場への支援として,2020年5月から9月までフェイスシールドを生産し,全国の感染症指定医療機関を中心に無償提供しました。このフェイスシールドは,日立グループの日立総合病院(茨城県日立市)の医療現場の意見などを参考に研究開発部門が中心になって設計を行いました。強度を確保しながら軽量化し,通気性も確保しており,シールド部分は着脱式で交換可能な構造としています。

また,新型コロナウイルスへの対応に不可欠な人工呼吸器の製造支援を目的に,日立の「組立ナビゲーションシステム」を活用した3D作業手順書を,クラウドサービスで無償提供しています。 この「組立ナビゲーションシステム」は,設計工程で製作される完成品の3D CADの設計データから,現場作業者が直感的に理解しやすい3D作業手順書に自動で変換できるシステムで,日立の大みか事業所(茨城県日立市)において確立した「高効率生産モデル」の技術・ノウハウを汎用化し,さまざまな製造現場における作業者の負荷軽減と生産性向上に向け製品化したものです。世界的なヘルスケア企業であるメドトロニック社 (本社:アイルランド)が無償公開した人工呼吸器の3D CADデータを本システムに取り込み,組立工程ごとに自動で作業手順化して公開しています。

海外においても,米国の自動車大手のゼネラルモーターズ社と日立グループのJRオートメーション社およびイーシス社が連携して,フェイスマスクの製造ラインを構築しました。3社の合同チームはそれぞれのリソースを持ち寄り,最初のラインを6日間という異例の速さで完成させました。ゼネラルモーターズ社が持つ多くの専門知識に,JRオートメーション社の非常に広範な産業や材料に関する知見,イーシス社の製造設備の設計を別の用途に変換するノウハウを加えることで,米国の規格に準拠した安全性を確保したマスクを,1日当たり最高で10万枚製造できるようになりました。完成したマスクは,すべて米国内の医療機関へ寄付されています。

医療現場向けフェイスシールド 医療現場向けフェイスシールド 6日間で構築したマスクの製造ライン

2.タッチレスソリューションの提供

コンパクトタイプの「空中入力装置」に表示したボタンを非接触で操作

日立グループは,新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた施策として,各種の「タッチレスソリューション」の開発を進め,順次提供を始めています。

ビルやマンションにおいては,手を触れずに移動するトータルソリューションを提供します。防犯カメラなどで顔認証を行う画像解析サービスや,ハンズフリータグ(携帯しているだけで入退出が可能なタグ)の活用により,建物エントランスの自動ドアやセキュリティゲートの通過,エレベーターの呼び出しや行先階の登録,入退室管理システムによる扉の開錠などを非接触で行うことが可能になります。また,画像解析サービスの人流解析機能により,エレベーターホールに向かう人数や混雑状況を把握し,人流予測型エレベーター運行管理システムと連動させることにより,エレベーターの待ち時間を低減し,出勤時間帯などの混雑を軽減することもできます。

また,医療機関や金融機関,公共施設,交通機関,工場などの幅広い分野で設置される機器に触れることなく,クリーンな非接触操作を実現するソリューションとして,ボタンやタッチパネルに替わり,空中に映し出された像に対して簡単な動作で機器に触れることなく操作ができる空中入力装置の開発を進めています。液晶ディスプレイを使って空中に大きなボタンを表示し,空中で「押す」・「めくる」という動作を行うことができ,簡単で自然な操作感を実現しています。さまざまな端末の操作画面や製造現場などの機械の操作盤をタッチレスに容易に変えることをめざし,今後,装置の高機能化を進め,ATMなど各種自動機端末製品にも適用していきます。

3.NPO団体を通じた寄付や日立財団を通じた感染症研究の支援

日立グループは,クラウドファンディングにより,小規模事業者(起業家や農業事業者など)への融資を支援する米国NPO団体Kiva Microfundsを介して,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている事業者へ融資を実施しました。具体的には,日立グループ従業員が新型コロナウイルス感染拡大によって影響を受け,融資を求めている事業者を選び,日立の基金から一人当たり25米ドルの融資を実行しました。また,社員だけでなく社外の方も参加できるように,Kiva Microfundsを利用する一般の融資者が今回の対象となる事業者を選択した場合にも,その融資額と同額を日立基金から上乗せし,融資を実施しました。これらを通じて,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている世界中の多くの小規模事業者に対して,総額100万米ドルの経済的支援を実現しました。なお,本融資資金は日立の基金として4年間にわたって融資と返済を繰り返して運用したのち,全額Kiva Microfundsの運営費用として寄付する予定です。

また,新型コロナウイルス感染症などの感染症研究への支援として,日立製作所から公益財団法人日立財団に1億円を寄付するとともに,日立の執行役および理事(執行役に準ずる幹部層),従業員からも寄付を募り,日立財団に「日立感染症研究支援基金(仮称)」の設立を進めています。日本の主要大学および研究機関の研究者を代表とした国際共同研究チームを対象に,新型コロナウイルスなどの感染症の予防・診断・治療に関する先駆的,応用的な医療関連技術の開発,およびパンデミックに備えた新しい社会システム構築の貢献に資する研究への支援を実施する計画です。今後,日立財団にて募集要項などを決定した後,所定の手続きや認可を経たうえで,基金を立ち上げ,2021年度から支援の募集開始を予定しています。

以上に紹介した活動以外にも,日立グループは新型コロナウイルスの感染拡大防止や拡大の影響軽減に向けたさまざまな施策に取り組んでいます。これらの活動は,ウェブサイト(http://www.hitachi.co.jp/information/ImportantNotices/activities.html)に掲載していますので,ぜひご覧ください。