自動車は人々の暮らしや経済活動に欠かせない社会インフラの一つだ。日立グループは1930年代に自動車機器事業を開始して以来,安全・快適で環境と共生する自動車の実現をめざし,基幹部品や制御技術・システムを提供してきた。そこへIoTなどの先端的な知見も結集し,今後もクルマ社会の健全な発展に貢献していく。
本号では,自動車を起点にモビリティ全体の将来像を展望し,自動運転技術と環境対応技術における日立の開発状況を紹介する。
自動車業界に破壊的変化をもたらす4つのトレンドと未来のモビリティシナリオ,自動運転やコネクテッドモビリティが消費者や社会,物流に与える影響などをRoland Berger LLC シカゴオフィス シニアパートナーStephan Keeseがレポートする。
100年ぶりの大変革の時代にあると言われる自動車産業では,世界中の自動車メーカーが電動化を推進し,自動運転やコネクテッド化の実現に向けた開発競争も加速している。クルマ社会のあり方そのものが変わろうとしている中,日立グループはどのように強みを発揮していくのか。日立オートモティブシステムズ株式会社の関秀明CEOが語る。
交通システム全体の最適制御をめざすスマートモビリティは,を中心にサイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した「超スマート社会」の重点分野の一つとされている。日立グループ内で自動車産業とその周辺産業,および関連するサービス産業に携わる3名が,モビリティの未来について広く語り合う。
日立は,自動車関連技術の開発において,安全・快適・環境・時間という4つのユーザー価値のバランス実現を掲げている。そのカギを握るのは,電動化,自動運転,コネクテッド化など技術潮流の先取りと,顧客ニーズに応えるための体制構築である。現在,日立が注力している取り組みについてキーパーソンに聞いた。
自動運転の実現に向け,欧州では多くの国が政府系機関を中心に実証実験を進める一方,欧州全体の枠組みに基づく産官学連携によるプロジェクトも進行している。しかし,それぞれ異なる交通ルールや社会背景,自然条件に応じた固有の課題も抱えている。各国個別の事情や日立が参画するプロジェクトについて,欧州拠点の最前線で開発の指揮を執るJohn Conlonが報告する。
自動運転技術の研究開発が加速している。自動運転システムでは,外界認識情報などの膨大なデータの処理・解析や,データセンター・インフラとの情報連携など広範な技術が必要となる。自動運転システムの早期実用化に向けた日立グループ各社の連携した取り組みについて紹介する。
地球環境の保全が急務だ。パリ協定を受け,運輸・自動車分野でもCO2削減のロードマップが提言されている。日立グループは連携して,CO2低減システムや製品の高品質化を支える基盤技術,また,金属・磁性・軽量化材料,加工,解析のコア技術を基にした高品質製品の開発に取り組んでいる。