世界的に進行する都市化や先進諸国を中心とした社会インフラの更新需要を背景に,新たなモビリティの形が模索されている。日立は,次世代のモビリティの中核となる鉄道システムにおいて,世界市場への事業拡大を急速に進めてきた。
本特集では,車両,機器,制御システムなど鉄道に関する最新の開発事例をとともに,鉄道利用者向けのサービスソリューション,メンテナンスにおけるデータ利活用などを紹介し,顧客・パートナー企業との協創を通じて日立が提唱・推進している鉄道の未来像を俯瞰する。
産業革命の終わりの時期,19世紀に英国で生まれた鉄道は,人,物の移動を時間的,量的にドラスティックに変え,イノベーションをもたらした。今,情報革命と呼ばれる技術変革のなかで,鉄道システムはいかに新たな価値を創出していくべきなのか。鉄道総研 熊谷則道理事長が提言する。
環境負荷の少なさや輸送効率の高さから,中長距離の公共交通の要として大きく発展してきた鉄道は,最新のデジタル技術を取り入れることにより,さらに効率や利便性を高めた次世代のモビリティへと進化し,持続可能な社会を支えていくことが期待されている。こうした潮流のなか,日立は,鉄道事業を通じてグローバル社会にどのように貢献していくのか,日立製作所鉄道ビジネスユニット 光冨眞哉執行役常務に聞く。
JR東日本と日立は,鉄道のさらなる安全性・信頼性向上のために,ATACSと呼ばれる革新的な列車制御システムを開発した。安全に直結する列車制御システムを協創によって実現した経緯とともに,ATACSをキーテクノロジーとした今後の展望などについて,開発プロジェクトに携わってきた3人に聞いた。
鉄道をはじめとしたインフラ施設では,老朽化の進行や労働人口の減少などの課題を前に,いかに安全性を保ちながら効率的なメンテナンスを行うかがカギとなっている。東京大学大学院の社会連携講座「情報技術によるインフラ高度化」は,こうした課題に取り組み,産学のオープンイノベーションにより,データを活用したインフラメンテナンスの高度化をめざしている。
鉄道インフラへの投資が進むオーストラリアは,技術およびサービスのイノベーターにとって,魅力的なビジネスチャンスがある。進化を続ける同国の鉄道インフラとそれらを取り巻く環境について,日立オーストラリア社のエグゼクティブディレクター兼ディレクターオペレーションズ Anand Singhが概説する。
鉄道車両とそれらを支える運行管理などの各種システムは,安全で快適な鉄道輸送を実現するための重要な要素であり,より高いレベルの安全性と信頼性が車両・システムの双方に求められている。 日立は,鉄道分野で長年培ってきた知見を生かし,顧客のニーズに応える幅広いソリューションを提供している。
IoTやAIに代表されるデジタル技術の進展は,鉄道業界にも大きな変革をもたらしている。世界的に見てもその流れは顕著で,利用者の利便性向上や鉄道事業者のサービス向上に資する技術が必要とされている。日立は,デジタル技術を駆使したスマートな鉄道サービスの実現をめざし,鉄道を利用する乗客や,鉄道事業者向けの新たなサービスの創出に取り組んでいる。